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「どこもやっていない」魅惑の攻撃サッカー、日大藤沢が広島皆実に快勝

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3得点で好発進の日大藤沢高(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.2 選手権2回戦 日大藤沢高3-1広島皆実高 等々力]

 地元・神奈川県代表の日大藤沢高は、「全校応援」でホームの雰囲気をつくりだし、立ち上がりから自分たちのリズムをつくる。攻撃時はアンカーのMF植木颯(1年)がセンターバックの間に落ちてビルドアップし、 MF植村洋斗(3年)とMF斉藤夏(2年)が組み立ててサイドにスペースができたところを突破力のあるDF岡田怜(3年)とDF吉本武(3年)の両サイドバックが突いた。クリスマスツリーと称される4-3-2-1の布陣で、「どこもやっていないサッカーをやろう」と指揮官が試行してきたサッカーだ。

 前半14分にはゲームメイカーの植村からのパスを受けたFW成定真生也(3年)が、ミドルレンジから左足を一閃、日大藤沢が先制する。その6分後には、ゴール前まで顔を出していた左サイドバックの吉本が、混戦から抜け出すと、相手GKを巧みなタッチでかわしてゴールに流し込んだ。

 広島皆実高(広島)もボランチの10番、MF田中博貴(3年)を中心にテクニックのある選手が揃い、ドリブルとショートパスを交えて組み立てようとする。しかし、日大藤沢は攻守の切り替えが早く、4-3-2-1の「3」に入った植村、斉藤、植木が早めに相手を潰し、「3列目の守備が今日のキーになる」という指揮官の期待に見事に応えた。「外も中もよくハードワークしてがんばってくれた」と佐藤輝勝監督は表情を崩した。

 後半に入ると広島皆実はFW岡本拓海(3年)がPKを成功させて1点を返す。神奈川県予選の5試合を無失点できていた日大藤沢の守備網を破り、反撃の機運が高まったが、続くゴールは日大藤沢が挙げる。左サイドを突破した吉本がファーサイドのFW平田直輝(3年)へピンポイントクロス。「角度はなかった」(平田)という状況で、背番号9はヘディングでねじ込んだ。

 5年ぶりの選手権初戦を3-1で快勝した佐藤監督は「神奈川を突破するのに5年かかりました。神奈川を突破するということは全国で優勝するチャンスがあると思っている」とコメント。神奈川県予選決勝で下した桐光学園は、今夏のインターハイで優勝しており、日本一は現実的な目標といえるだろう。敗れた広島皆実の仲本洋平監督は「日本一のチームに勝ってきているので。広島県にはないチームだったなと思いました」とゲームを振り返った。

 今年度の神奈川県予選決勝は前年度より19日遅い11月30日に行われたため、選手権出場が決まってからの準備で苦労があったと指揮官は明かす。「練習試合とか相手がいなかったんですけど、サッカーのつながりって素晴らしくて、試合をやらせてもらったり、宿舎も無理を言ってお願いしてやっと泊まれたり。サポートしてくれる方や支えてくれる人がいての勝利」。感謝を胸に、日大藤沢は明日3日に仙台育英高(宮城)との3回戦に臨む。

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2019

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