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食中毒に見舞われた広島皆実、指揮官はイレブン称える「動揺したかもしれないけどプラスに変えてくれた」

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反撃及ばず、広島皆実高は2回戦で敗退(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.2 選手権2回戦 日大藤沢高3-1広島皆実高 等々力]

 08年度に全国高校サッカー選手権制覇を遂げている広島皆実高(広島)だが、直近4大会は初戦敗退と苦しんでいる。6年ぶりの初戦突破を期するチームに、衝撃が走った。

 12月31日の夜、広島皆実のサッカー部員44名が食中毒になり、病院に搬送されたことが各メディアで報じられた。選手権のメンバーに登録されている選手は、食中毒症状が出たところとは別の場所にいたため、日大藤沢戦のメンバーが組めないという事態には至らなかったが、精神的な影響は避けられなかった。

 仲本洋平監督によると、「昨日(1日)の段階では2人入院」していたといい、42名の部員は宿舎で日大藤沢戦を見守ることに。等々力競技場のスタンドで応援していたのは「サッカー部以外の生徒、サッカー部は3年生で引退した生徒」だった。日大藤沢が地元・神奈川県での試合ということもあってホームのような雰囲気になったが、広島皆実スタンドからの声援は最後までイレブンの背中を押した。

 試合は2点先行される苦しい展開となったが、10番を背負うMF田中博貴(3年)のドリブル突破などで盛り返していく。「うちのペースに少しずつなったかなと思います。前半の終わりから後半の立ち上がりにかけて」(仲本監督)。後半5分にはFW岡本拓海(3年)がPKを沈め、反撃ムードが高まっていたが、日大藤沢にダメ押し弾を許してしまった。「もう1点取られて、向こうのほうが上手だったと思う」。

 同校として15回目の選手権を戦い終えた指揮官は、「生徒の体調が回復することを祈りつつ、我々が勝つことがBチームのためだという思いを生徒も持ってくれているので。動揺した部分もあるかもしれないですけど、これをプラスに変えてやりきってくれたとは思います」と戦い抜いたイレブンを称えた。

 日本一を掲げる日大藤沢の印象を「広島県にはないチーム」と評した仲本監督は、「年間を通して、常に全国を意識するというか。1人1人の成長をもっとさせていきたい」とレベルアップを誓っていた。

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2019

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