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[MOM3123]日大藤沢DF吉本武(3年)_「手綱を握っていてもゴール前に」、超攻撃的SBが1G1A

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選手権を楽しんでいるという日大藤沢高の左SB吉本武((写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 選手権2回戦 日大藤沢高3-1広島皆実高 等々力]

 左右のサイドバックが高い位置をとって攻撃の起点になる。さらに、ゴール前に切り込んで得点にも絡む。元来攻撃的な選手である、左SB吉本武(3年)と右SB岡田怜(3年)は、日大藤沢高(神奈川)の攻撃サッカーに欠かせない存在だ。

「攻撃に関しては水を得た魚」。この日、1ゴール1アシストの活躍を見せた吉本を佐藤輝勝監督は形容する。「守備はちょっと苦手な部分がありますけど、うちは良いところを伸ばす」のが、指揮官の方針だ。その特性を「手綱を握っていてもゴール前に行っちゃう」と冗談交じりに評した。

 得点のシーンでもサイドバックらしからぬプレーが見られた。FW平田直輝(3年)がペナルティエリア内でシュートモーションに入っても吉本は足を止めず、ゴール前に突進する。平田のシュートは力なくゴールに向かったところを、吉本がコントロール。「直輝のシュートのこぼれ球を狙おうと思っていたので、つめていてよかったです」。そのままボールをさらい、GKまでかわして無人のゴールに流し入れた。「冷静でした」と巧みなゴールを振り返って、吉本は笑みをこぼした。

 さらに、広島皆実を突き放すゴールも背番号5の左足が起点となった。左サイドを突破すると、中央をしっかりと見てからファーサイドのFW平田直輝(3年)へ、「練習であそこにくれとすごい言われる」ピンポイントクロスを送る。「相手のGKの肩らへんを狙いました」(平田)というシュートは、クロスバーに当たりながらゴールネットに吸い込まれた。

「もともと中盤をやっていた」吉本は日大藤沢1年生のときにサイドバックにコンバート。ドイツ代表として100試合以上に出場し、両サイドバックに加えてボランチもこなす「(フィリップ・)ラームをよく見ろと言われた」。個人的には「(アンドリュー・)ロバートソンあたりを意識しています」と、昨季11アシストを記録したリパプールが誇る攻撃的左サイドバックの名前を挙げた。

「持久力は自信がある」という吉本だが、3-1となった後にお役御免となった。「クリスマスのときに風邪を引いちゃって……。試合中も咳がすごくて」とコンディションに難があったことを明かす。「今日は見せていないですけど、キックが自分の持ち味なので、一発の展開はこれから見せていこうと考えています」。超攻撃的SBが真価を発揮するのはこれからだ。

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2019

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