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途中出場のFW吉田健太が決勝点!高川学園をゼロで抑えた仙台育英、15年ぶり3回戦へ

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今大会初完封の仙台育英高が16強へ(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.2 選手権2回戦 仙台育英高1-0高川学園高 等々力]

 出場した3大会連続で選手権の2回戦で敗れている仙台育英高(宮城)にとって、3回戦進出は04年度以来15年越しのタスクだ。そして、高川学園高(山口)にとってもまた2回戦のカベに苦しんでおり、3回戦に進出すれば07年度以来12年ぶりとなる。

「重苦しい空気の中ではじまった」。仙台育英の城福敬監督は、そう感じ取っていた。実際、互いにシュートゼロで前半の40分は終了。ハーフタイム、城福監督は早くも交代枠を使う。「中山陸のヘディングの強さがもっと活きたらなと思っていたんですけど、セカンドボールをほとんど向こうに拾われていたので、スピードのある吉田(健太)」と、2年生FWの起用に踏み切る。

 後半に入ってスペースが広がりオープンな展開に。互いにドリブルでの突破が目立つにようになるが、アタッキングサードに入ってからのパス精度を欠いて決定機までには至らない。「1点取られたら取り返す力はあるのかなという不安は少しありました」と吐露した城福監督は、「とにかくゼロ(無失点)」を意識していたという。仙台育英はセンターバックのDF中川原樹(3年)が1回戦で退場処分となって出場停止に。代わってDF大塚俊輝(1年)を抜擢し、さらに足の状況が思わしくないDF内山恵達(2年)を休養させ、DF角田一期(3年)を起用。4バックのうち半分を入れ替えざるを得ない苦しい状況だったが、思惑どおりゴールを与えることなく時計の針は進んでいった。

 この試合最初の決定機を迎えたのは、途中出場の仙台育英FW吉田健太(2年)。後半29分に同じく途中出場のFW山口蓮(3年)の突破から、こぼれ球を狙ったがゴールマウスをとらえることはできなかった。それでもその3分後、MF豊倉博斗(2年)が左サイドからゴール前に放り込むと、吉田は頭でコースを狙いすます。「あまりない」というヘディングシュートで均衡を破ると、これが決勝点となった。

 5分に及ぶアディショナルタイムも含めて攻める高川学園だったが、最後までゴールを陥れることはできず、試合終了の笛とともに白と水色のユニフォームのイレブンはその場に崩れ落ちた。「決めきれれば……」と主将のMF内田裕也(3年)は声を振り絞った。

「強いよ」。続く3回戦で対戦する日大藤沢高(神奈川)の印象を語った城福監督だが、「選手権は何が起こるかわからない。優勝候補と言われた強豪チームもいくつか負けている。前評判とかだけでは簡単にはいかない」と意欲を見せ、「体を当てて、身を挺して、戦いをすると勝負はどちらに転ぶかわからないという話を(選手に)した」と明日の決戦を見据えた。

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2019

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