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インターハイ初戦PK負けからの猛特訓が実った!日章学園が難敵市立船橋をPK撃破!!

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日章学園高がPK戦を制した(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 高校選手権2回戦 日章学園0-0(PK7-6)市立船橋 フクアリ]

 第98回全国高校サッカー選手権大会の2回戦が2日に行われ、フクダ電子アリーナの第1試合では日章学園高(宮崎)が市立船橋高(千葉)を0-0から突入したPK戦を7-6で制し、3回戦に進出した。3日の3回戦では四日市中央工高(三重)と対戦する。

 地元・市立船橋高の初陣を観ようと、フクダ電子アリーナに詰めかけた観衆は実に1万1214人。市船のチャンス、ピンチの一つひとつに会場が沸き立つ異様な雰囲気の中で試合が行われた。しかし日章学園のイレブンは“人生初の経験”に驚きながらも、観客が多すぎたことで逆に開き直ることも出来ていたという。

 とにかく我慢の試合になった。予想通り市船がボールを支配してゲームを進めるが、中盤で持たせてもゴール前で決定的な場面を作らせることはない。逆に前半30分、FW鈴木陽介(3年)がドリブルで持ち込んでシュートを放つ。チャンスこそ少なかったが、強敵に臆することなく立ち向かった。

 市船も後半、右SBの畑大雅(3年)がより高い位置を保つようになったことで、攻撃に幅が出てくる。ただ21分、22分の連続した突破からのクロスが中とわずかに合わなかったこともあり、得点には結びつかない。後半35分からは主将MF町田雄亮(3年)を下げてまでして、4バックから3バックに変更。さらに両サイドを高い位置にやることで前線に厚みを持たせたが、スコアを動かすことは出来なかった。

 延長戦なしのPK戦に突入。先に仕掛けていたのは日章学園だった。試合終了直前に守護神の福山智仁(3年)に代えて、GK清原寛斗(2年)を投入。昨夏のインターハイで悔しい初戦PK戦負けを知るGKに交代して、“リベンジの舞台”に向かわせていた。

 そして互いに譲らず、7人目まで突入したPK戦。そこで清原が魅せることになる。FW松谷昂輝(3年)のキックに対し、右に飛んだ清原が枠外へと弾き出す。「気持ちで止めました」。その瞬間、雄たけびを上げながら大きくガッツポーズ。直後に蹴ったDF濱松凜(3年)がPKを決めた瞬間、応援席方向に駆けて行ったイレブンによって、歓喜の輪が作られた。

 タフなゲームに早稲田一男監督も疲れ切った表情で取材エリアに現れると、「どうしても格上の相手なので、守備意識を高めないといけなかった。本来のチーム力は出せなかったかもしれないけど、それだけ相手が強かったということ」とまずは相手を称えた。

 PKについては、夏のインターハイ敗退後、特に力を入れて取り組んできたという。普通に蹴るPKの練習はもちろん、GKに蹴る方向を言ってから蹴る“申告PK”で心を鍛えて、大会に臨んでいた。主将DF阿部稜汰(3年)も「この大会の前に東京に入ってからも毎日PKの練習をしていた。だからみんな自信を持って蹴れていた」と胸を張って答えた。

 市船との組み合わせが決まった段階で、ここが大きな関門となることは分かっていた。それだけにイレブンは達成感がある。ただここで満足するつもりはない。連戦との戦いでもある選手権。次戦は明日にやってくる。阿部主将は強調する。「自分たちの目標は市船に勝つことではない。あくまでも日本一になること。いい勢いに乗れると思うので壊さないようにしたい。次の試合も必ず勝ちたいと思います」。

(取材・文 児玉幸洋)
●【特設】高校選手権2019

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