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[MOM3132]四日市中央工GK有留奎斗(3年)_5本すべて読み切った!!“PK戦用GK”打ち砕く意地のPKストップ

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意地のPKストップを見せた四日市中央工GK有留奎斗

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 選手権3回戦 四日市中央工高 3-3(PK4-3)日章学園高 フクアリ]

 “PK戦用GK”に負けるわけにはいかなかった。3-3のまま突入したPK戦。四日市中央工高(三重)のGK有留奎斗(3年)は相手のキックを5本すべて読み切り、4人目のキックを右腕1本できっちり弾き出した。PK3-3で迎えた5人目。先攻の四中工が成功したのに対し、後攻の日章学園はポストに当ててしまい、熱戦に終止符が打たれた。

「普段は攻撃陣が活躍して勝っているし、たまには自分が活躍しないとと思っていた」。今大会3試合目で初のPK戦。それでも守護神は「自分の晴れ舞台。やっと自分にスポットライトが当たるぞと思った」と楽しむ余裕があった。

 対する日章学園は後半終了間際に2回戦の市立船橋戦でPK戦勝利の立役者となったGK清原寛斗(2年)を投入していた。「自分も中学のとき、最後の大会でPK戦用のGKとして試合に出て、そこで負けて引退していた。中学のときはほとんど試合に出られてなくて、最後に出してもらえたのに勝てなかった」。当時の記憶も蘇り、さらに集中力が増していた。

「PKは得意」と話す有留は「ボールの置き方、助走、蹴り方を見ている」とPKストップの“極意”を話す。日章学園は前日の市立船橋戦でPK戦までもつれ込んでおり、その映像も「軽く見ていた」という。ただ、この日は試合の中で後半18分にPKを与え、そこでFW鈴木陽介(3年)に有留から見て左方向に決められていた。

「10番(鈴木)が試合中に蹴ったのは、分析していたのと逆だったけど、ちゃんとそっちに飛べていた」。このときも読みは当たっていた。鈴木はPK戦でも1人目を務め、今度は有留から見て右に蹴ってきたが、これも飛んだコースは合っていた。データではなく、自分の読みと勘を信じ、2人目も3人目もコースはドンピシャ。あとは止めるだけという展開で4人目を見事にストップしてみせた。

 先制しながら逆転を許し、再逆転したものの再び追いつかれ、PK戦で競り勝った。頼れる守護神は「逆転されたときもみんなで集まって『これが選手権だぞ』と話していた。チームが一丸となれたし、この試合でよりまとまったと思う」と、苦しみながらの8強入りに自信を深めていた。

(取材・文 西山紘平)
●【特設】高校選手権2019

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