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夏の日本一倒した日大藤沢は8強前に涙。佐藤監督「日本一になれなくても、輝いたチームだった」

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佐藤監督が絶賛するリーダー、CB青木駿人主将は涙が止まらなかった。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.3 選手権3回戦 仙台育英高0-0(PK9-8)日大藤沢高 等々力]

 インターハイの桐光学園高に続く、神奈川県勢の夏冬連続日本一を目指した日大藤沢高は、3回戦で残念な敗退となった。立ち上がりにFW浅野葵(3年)の右足シュートが左ポストをかすめ、19分にはスルーパスで抜け出した右SB岡田怜(3年)が決定的な右足シュート。だが、距離を詰めた仙台育英高GK佐藤文太(3年)に阻まれて先制することができない。

 後半にもMF植村洋斗(3年)がDFを外して放った右足シュートや、植村のスルーパスから交代出場FW布方叶夢(3年)が放った決定的なシュートなどゴールへ迫ったが、守備に専念する仙台育英の守りを最後までこじ開けることができなかった。

 0-0で突入したPK戦ではGK濵中英太郎(2年)が相手の8人目を先に止めたが、その後2人が止められて敗退。チームを牽引してきたCB青木駿人主将(3年)は「相手の粘りが凄く、それをこじ開けられなかった」と唇を噛んだ。

 日大藤沢は、今年度の最注目選手だったU-20日本代表FW西川潤(3年、C大阪内定)擁する桐光学園を神奈川県予選決勝で破って全国出場。1年時に全国ルーキーリーグ交流大会で優勝している“日本一世代”への期待は高まった。

 取り組んできた4-3-2-1システムの堅守と攻撃時のパワーは全国でも十分に通用。広島皆実高(広島)との初戦を3-1で制して勢いに乗ったが、青木主将は「どこかで『自分たちならやれる』という慢心が出ていて、相手の方が思いの部分だったり一個上に行っていたのかなというのが、自分の後悔。このチームならば本気で日本一を獲れると思ってやってきたので、負けて本当に悔しいですね」と首を振った。

 昨年度の選手権予選、今年度のインターハイ予選と惜敗した桐光学園へのリベンジの思いから嫌なことにも率先して取り組み、仲間への苦言も言い合えるチームとなった。選手たちはトレーニングから自発的に心に火をつけ、それを表現。コーチ陣のサポートも受けながら、青木中心に選手主導で成長できるチームになった。そして、強敵・桐光学園にリベンジを果たし、全国制覇を掲げて臨んだ選手権。この日は仙台育英をシュートわずか1本に封じたが、得点を奪えず、夢は潰えた。

 佐藤監督は「あと一日、あと一日と積み重ねたかった」と残念がる、それでも、「日本一になれなくても、輝いたチームだったと僕は思っている。まだまだだということを教えてもらったから、3年生は何でも良いから次のステージで日本一になってもらいたい。1、2年生はこういうことを乗り越えられるように」とエールを送った。

 大学へ進学してサッカーを続ける青木は、「今日の負けが無駄じゃなかったと言えるような4年間を送りたい」とコメント。そして、後輩たちへ向けては「選手権の負けは選手権でしか返せないと思う。1、2年はここから1年が始まる。簡単な道ではないと思うんですけれども、宮川や濱中には『来年、もう一回ここに帰ってこい』と伝えました」。日大藤沢はこの日、濵中、CB宮川歩己(2年)、MF斉藤夏(2年)、MF植木颯(1年)と1、2年生4人が先発。FW鈴木輪太朗イブラヒーム(2年)という大器やMF猪狩祐真(2年)ら好選手もいる。彼らは先輩の背中から学んだことに取り組み、先輩たち以上のチームになって1年後に選手権制覇へ再挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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