beacon

痛恨パスミスも…青森山田MF古宿は崩れず「声で助け合うチームメートがいる」

このエントリーをはてなブックマークに追加

青森山田高MF古宿理久(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.5 高校選手権準々決勝 青森山田3-2昌平 等々力]

 3ゴールを奪った前半から一転、後半の青森山田高は厳しい戦いを強いられた。その発端となったのはボランチの一角を担うMF古宿理久(3年/横浜FC内定)の失点につながるパスミス。背番号6は「視野が狭くなってしまったのは今日の改善点」と準決勝に向けての課題を口にした。

 3-0で迎えた後半9分、右サイドでビルドアップを続けていた古宿のパスが昌平高FW小見洋太(2年)に奪われると、そこからMF須藤直輝(2年)のゴールを許した。これで勢いを増した昌平には35分にも追加点を献上。最後は粘り強く時間を使いながら守り抜いたが、1失点目は形勢が入れ替わるターニングポイントとなった。

「あの場面は自分のパスの弱さのミス。もっと速いボールをつければ良かった。あまり11番(小見)も見えていなかったので通ると思っていたけど、もっとボールを走らせたり、見えていれば逆を取って違う選手につけていたり、もうちょっと顔を上げて周りが見えていれば良かった」。試合後、古宿は自らのミスを仔細に振り返った。

 もっとも、その後のプレーで精神的に持ち崩した様子はなく、「逆に自分がやってやろうという思いが強くなった」という安定感も見せつけた。「勝つことだけをやっていたので、最初は気にしたけど、やっている中で改善はできた」。ミスを悔いても取り戻すことはできない。勝利という絶対的な目標のため、背番号6は自らの仕事をやり抜いた。

 そうした切り替えの背景には、チームメートの支えもあった。青森山田はそれぞれの失点直後、GKも含む11人全員が自陣中央に集まり円陣を形成。「切り替えられるような声かけだったり、次次!という感じで、失点したところには触れないで次に行こう!と」。内容をそのように明かした古宿は「困った時は声で助け合うチームメートがいる」と仲間の存在を誇った。

 これで昨季に続いて準決勝に進出。「個々の能力は去年より劣っている部分はあるけど、チーム力は自分たちの特長」という集団で連覇を狙う。準決勝までは中5日。「この雰囲気をなくさないようにしようとしている。体を休めながら心は準決勝モードに切り替えられるようにしたい」と心身ともに良い準備をし、初優勝を狙って挑んでくる帝京長岡戦に臨む。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2019

TOP