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川口監督「僕のイメージとしてはもっとできる」。静岡学園はより“静学スタイル”発揮して準決勝勝利へ

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静岡学園高の左SB西谷大世はより“静学らしい”崩しをして得点することを誓う

[1.5 選手権準々決勝 徳島市立高 0-4 静岡学園高 駒沢]

 4-0で快勝し、今大会は4試合で計15得点無失点。好結果を残しながら勝ち上がってきている静岡学園高だが、川口修監督は満足していなかった。

「今日のゲームは技術的なミスが非常に多い。それを改善したい。結果は出ているけれど、イージーミスが多い」。

 静岡学園は井田勝通前監督の下、40年以上前からテクニックやアイディア、インテリジェンスを重視。ゆっくりとボールを動かしながら、局面を個とグループのテクニック、アイディアで切り崩す“静学スタイル”で技巧派系チームの先頭を走ってきた。

 井田前監督から川口監督に受け継がれた後も、伝統のスタイルは変わらない。日常のトレーニングはドリブル・リフティングからスタートし、ミニゲームや崩しからのシュート練習などで力を磨いてきている。川口監督が世界で活躍できる選手育成を公言する中で、コーチ陣が求めるレベルも向上。MF浅倉廉(3年)やMF小山尚紀(3年)、MF井堀二昭(3年)らその中で力をつけてきた選手たちが、全国舞台でもその武器を披露している。

 この日もショートパスを繋ぎながら相手を押し込み、狭いDF間へ縦パスを通してシュートへ持ち込んだり、相手をいなしてドリブルでゴールへ迫ったりするシーンはあった。だが、目立ったのはむしろ鹿島内定MF松村優太(3年)の圧倒的なスピードや前からの切り替え速い守備。セットプレーやサイド攻撃から得点を重ねたものの、テクニックとアイディアで崩したシーンは少なかった。

「PAでの驚くようなプレー」や「会場を沸かせるようなプレー」は、まだまだコーチ陣の納得するレベルには到達していない。指揮官は「本当に良いリズムがある時はもっとリズムが良いし、もっと仕掛ける。僕のイメージとしてはもっとできる。もっと学園らしくというイメージがある。技術とアイディアを見せられるともっといい」と期待した。

 この日は前半に3得点したことで、安全な試合運びに。特に後半はリスクを避ける形で大胆な仕掛けが少なかった。元々ボランチで技術面などを評価されて左SBへコンバートされた西谷大世(3年)は「プレスを掛けられた時に簡単に蹴ったりしてしまうところがあるので、そこをしっかりと崩して点を獲れるようにやっていきたいと思います」と力を込めた。

 準決勝で対戦する矢板中央高(栃木)は堅い守備を特長とするチーム。1年時のRookie Leagueで0-1のスコアで敗れている相手だ(全国進出プレーオフでの再戦は2-2で引き分け)。この日、西谷は矢板中央の印象について「関東のチームで一人ひとり強い。ハイボールも簡単には勝てないと思う」とコメント。だからこそ、「静学の足元で繋いだり、ドリブルを貫いて勝てるように」と“静学スタイル”で勝つ意気込みだ。この日、4得点目を演出した西谷やCB中谷颯辰(3年)ら後方からゲームメークできる選手がいることも静岡学園の強み。この日の快勝に満足することなく改善に取り組み、準決勝ではボールを正確に繋ぎ、アイディアのある崩しで矢板中央の堅守を破る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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