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「本当にビックリ」「素直にスゲェな、と」「褒めてあげたい」。矢板中央は指揮官も感動の全国4強進出!

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矢板中央高は過去最高成績に並ぶベスト4進出

[1.5 選手権準々決勝 矢板中央高 2-0 四日市中央工高 駒沢]

「ビックリしています。本当にビックリしています」。

 試合終了の瞬間、両腕を突き上げて勝利を喜んでいた矢板中央高・高橋健二監督は、驚きの第一声。その後は笑顔とともに、“予想を超える結果“を残した選手たちを褒めちぎっていた。

「指導者として、感動しています」「素直にスゲェな、と思っています」「褒めてあげたい」「まずはとにかく、おめでとうと」……。

 高橋監督が驚くのも無理はない。8強入りした前回の選手権でピッチに立った選手はゼロ。代替わりして迎えたプリンスリーグ関東では、前年の優勝から最下位に転落している。「今年は県でも勝つのは厳しいだろうと言われていた。谷間の世代と言われていた」(高橋監督)という世代だ。

 プリンスリーグ関東の失点は、昨年の22失点から今年は44失点に増加。伝統の堅守を自分たちも発揮することを目指していたが、なかなか失点は止まらなかった。力も、技術もない。だが、選手、コーチ陣はそれを認めても、諦めなかった。

 その中で選手たちは高橋監督から求めてきたものがある。「気持ちとか、ハードワークするところとか、去年よりも何かプラスになること。ハードワークしたり、身体を張ったり、最後まで諦めなかったり、あとは全員サッカーですね。全員で守備したり、全員で攻撃したり、とにかく走り負けない、走り勝つこと」。選手たちはコーチ陣の言葉を信じて取り組んできたが、すぐに結果が出た訳でない。

 県予選では初戦から全4試合で失点。リードされて追い詰められた試合もある。だが、その後のプリンスリーグでは前期0-7で敗れた横浜FMユースに勝利し、優勝チームのFC東京U-18とも0-0で引き分けている。

 そして、全国大会では3回戦の鵬学園高(三重)戦、この四日市中央工高(三重)戦と2試合連続無失点。CB長江皓亮主将(3年)やCB矢野息吹(3年)らがゴール前で身体を投げ出してシュートブロックし、こぼれ球にも2人、3人が反応してクリアする。それを80分間継続した。ここまでV候補との対戦がなかったことも確かだが、“強いチーム”の守備。それを表現して同校の過去最高記録に並んだ。

 3度目の4強入りだが、高橋監督は「(今回は)特別ですね」。彼らは先輩たちに匹敵するレベルの精神力、粘り強さを身に着けて、「誰もが信じられないというか、ここまで来れると思っていなかった」(高橋監督)ことをやり遂げた。

 高橋監督は「決して良い選手はいない。代表選手もいないし、最後まで諦めない高校サッカーらしい選手たちばかりなので、次の世代、高校サッカーで頑張る選手たちへの励みになると思いますね」。ひたむきに頑張ってきた世代は準決勝までの6日間、また成長するための期間を得ることができた。

 次の目標は、過去の先輩たちが成し遂げることのできなかった全国準決勝で得点すること、そして無失点に封じること。強敵・静岡学園高(静岡)との準決勝を乗り越えて、「歴史を塗り替えた世代」になる。

(取材・文 吉田太郎)
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