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[MOM3148]青森山田MF松木玖生(1年)_決勝弾にスーパークリア!1年前に思い描いていた姿を上回る大活躍

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後半2分、青森山田高MF松木玖生が左足で決勝点。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.11 選手権準決勝 青森山田高 2-1 帝京長岡高 埼玉]

 中学3年時に描いていた1年後の姿。スーパールーキーは、自分が思い描いていた以上の活躍で青森山田高を決勝戦へ導いた。

 U-16日本代表MF松木玖生(1年)は、埼スタファイナルを懸けた一戦で“2ゴール分”の仕事をしてのけた。1-0の前半37分、青森山田はサイドを打開され、決定的なクロスを入れられる。これはGK佐藤史騎(3年)が飛び出して弾いたが、混戦からゴールへ押し込まれそうになった。

 ボールは佐藤が反応できない左隅へ。だが、「ゴールに近づいたので、このままだと決められるなと思って」ゴールをカバーした松木が頭でクリアし、前半最大のピンチを逃れた。すると、松木は「ヨッシャ―!!!」と咆哮。1年生はビッグプレーでチームを救うと後半開始直後に自らゴールを決めて見せた。

 2分、青森山田は右サイドを抜け出したMF古宿理久(3年)が右足でクロス。DFに当たってファーサイドに流れたボールを背番号7が左足ダイレクトでゴールに押し込んだ。ゴールを決めると、両手で「Tポーズ」。友人の名前の頭文字を形どるゴールセレブレーションで貴重な一撃を喜んだ。

 今大会は初戦、3回戦で計3ゴール。一方で守備能力の高さ、運動量の多さを示している。この日も、自陣ゴール前でゴールを守ったかと思えば、敵陣ゴール前にも顔を出して決勝点を記録。ボックストゥボックスの動きは持ち味の部分だ。「シャドーのポジションはPAからPAの仕事が多いですし、守備でも少し貢献できたし、点数も決められたのでチームとしても良かったと思います」。加えて、ルーズボールに対して身体を投げ出してクリアするなど、身体を張ったプレーも連発。背中でチームを引っ張り、今大会4得点と目に見える活躍をしている。

 青森山田中に在籍していた1年前、先輩たちが日本一を勝ち取る姿を見て、1年後の自身の姿を思い描いていたという。青森山田高のレギュラーとして選手権で勝利に貢献するのはイメージ通り。ただし、「1、2点獲れれば良いかなと。自分がこれほど得点獲れるとは思っていなかったです」と“未来予想図”を超える活躍を驚いていた。

 この活躍のために中学時代から筋力トレーニングを実施。毎日茶碗3杯のご飯を食べるなど肉体強化に取り組んできた。この1年で5kg増量。夏頃は「筋トレしすぎて」身体が重くなり、思うように動けなかった時期もある。それでも、秋から冬にかけて身体にキレが出て、現在は強さと巧さの両方をピッチで表現している。

 日本一まであと1勝。1年前から思い描いてきた決勝は、「決勝で圧倒して勝つというのは思い描いていました」という。そして、自身の決勝でのプレーについては「これも想像なんですけれども、自分が3点くらい獲ってチームを勝たせてという感じですね。自分、主役で考えているんで(微笑)」。全国決勝で3得点はさすがに容易ではないが、その可能性も感じさせるような働きぶり。飛躍したスーパールーキーは、“主役”として初の選手権を終えるか。まずはチームのために走って、戦って、その上で自分が再び試合を決めるようなプレーをする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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