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横浜FM内定の興國CB平井駿助は練習参加を経て自信。選手権で「僕がナンバー1のCBだと証明できるように」

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興國高CB平井駿助は選手権で名を上げるか

 選手権で「僕がナンバー1のCBだと証明できるように頑張っていきたい」。大阪連覇、全国制覇を狙う興國高のCB平井駿助(3年)は、新型コロナウイルスによる休校期間や夏休みを利用して8月20日まで内定先の横浜F・マリノスへ長期の練習参加。その期間で大きな自信を掴んでいる。

「今まではメンタルが安定していなくて、でも今は落ち着き度とか全然違うなと思います。(バタつかなくなり)視野が広くなって、どこでも配球できるようになった」。当初はスピード感の部分で苦戦。加えて「周りがプロというのがあって、気を遣ったりして自分を出せなかったのがあった」と振り返る。

 平井は186cmと長身だが、器用に身体を動かすことができる選手だ。両足を使ってドリブル、パスができることも強み。練習参加当初は苦労したというが、慣れて徐々に自分の力を発揮できるようになった。そして、非公開の練習試合にも出場し、J1の外国人選手相手にも対抗。本人も「J1相手でも全然やれるなと感じました」と手応えを得たという。

 興國の内野智章監督は、「昔から『やられた!』と思った瞬間、最後のスライディングで(突如視界に)出てきてゴールを守るシーンが多々あり、感覚的なリスクマネジメント能力があるように思います。マリノスの強化の方も同じことをおっしゃってました」と平井の凄さを加える。

 サイズと器用さ、リスクマネジメント能力も併せ持つCB。その平井は興國に戻ってきてから、同じ高校生にやられる感じが「全くしないです」と言い切る。8月に対戦(4-1で興國が勝利)した昌平高(埼玉)の選手たちも平井について、「強い」と評していたほどだ。プロの中ではヘディングで弾くだけになっていたような場面でも、高校の中に入ると、余裕を持って回収してマイボールに。練習参加後は、これまでよりも遥かに余裕を持ってプレーできるようになったと平井は実感している。

 内野監督も平井の練習参加後の進化を驚く。「マリノスの練習参加後は昌平戦で感じたのですが、自信に満ち溢れていて、局面の対人対応に良い意味での余裕があって、ピンチでもバタバタすることが全くなく、冷静に対応しています。また、DFラインからの配球のテンポが速くなり、1タッチパスが非常に多くなるとともに、スペースがあれば積極的にドライブを入れるシーンも増えて、さらにロングフィードも格段に増えました」と分析。そして、「平井がいると、ディフェンスは堅くなり、オフェンスは多彩でスピーディーになります」。昨年度の選手権はミスで失点に絡んでしまっている平井だが、選手権で明らかに変わった姿を示す意気込みだ。

 本人がライバル視しているのは青森山田高のU-19日本代表候補CB藤原優大主将(3年、浦和内定)だ。「(対抗心は)だいぶ芽生えています。(藤原が)U-19の代表選ばれて、めっちゃ『くそっ』と思って。それがあるから頑張れると思います」。ターゲットにしているのは藤原と、青森山田だ。

 実績、周囲からの評価は相手の方が上。その評価を覆すためには選手権で勝ち上がり、直接対決で勝つしか無い。藤原も攻略することが非常に困難なCBとなっており、青森山田は全国大会でも優勝候補になるだろう。勝つことは簡単なことではない。それでも、平井は強敵と対戦するまで勝ち続け、“ライバル”に勝って「僕がナンバー1のCBだと証明」する。 

(取材・文 吉田太郎)
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