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内定先の千葉へ約2週間練習参加。GK松原颯汰は細部にこだわって成長続け、流経大柏に選手権Vもたらす

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名門・流通経済大柏高の千葉内定GK松原颯汰は選手権優勝を誓う

 プロ入りを決めた注目GKが、感謝の思いを込めて選手権タイトルを勝ち取る。流通経済大柏高(千葉)の日本高校選抜GK松原颯汰(3年)は、今月1日に来季からのジェフユナイテッド千葉加入内定を発表。今月は約2週間、千葉に練習参加し、選手権千葉県予選初戦(24日)を控えた流経大柏に戻ってきた。

 松原が千葉入りを決めた理由は「一番成長できると感じた場所だった」からだ。GK新井章太やGK佐藤優也といった経験豊富な先輩GKの存在や、環境面に魅力を感じた。他クラブからの練習参加の要請もあったようだが、いち早くオファーを受けた千葉入りを決断。松原は大阪出身であるものの、「ここ(千葉の流経大柏)で一番成長できたと感じたので、千葉の応援してくれる方の下でもっともっと自分を高められたら良いと思いました」という思いも千葉入りを後押ししたようだ。

 その松原は、「(内定後)早い内に自分も行きたいという気持ちがあった」という千葉への練習参加も実現。U-19日本代表候補との練習試合にも出場した。千葉での2週間で自分はまだまだということ、また課題を実感することができている。

「(練習参加の期間では)上手く肩を使えるような選手になることと、ポジショニング、ジャンプする時の踏切の足の位置だったり細かい部分を指摘して頂いた。帰っても継続しないといけない部分だなと思いました」と松原。彼は登録身長が180cmで、プロのGKとしては大柄な部類ではない。それだけに、シュートの際にどれだけ足を動かし、跳躍時に「伸びる」ことができるかも重要だ。今月16日に行われた流経大柏の紅白戦の際、出場していない時間にも松原がわずかなスペースでシュートセーブの練習を繰り返していたことが印象的だった。

「(跳躍時に)上手く伸びるというところをジェフの選手たちは当たり前のようにやっていたので。自分もこういう少ない時間の合間に少しでも良くなれば良い。サイズがない分、細かいところまでこだわっていかないと、大きい選手たちに勝っていけない」

 松原は今年3月にも千葉へ(その後湘南にも)練習参加。流経大柏の榎本雅大監督は「(帰ってきたら)別人になっていました」と当時を振り返る。「プロにならないといけない」という目標が現実味を増し、トレーニング・日常生活から意識が変化。どこかフワッとした印象のある松原だが、プロになるために必要なものを自分に対して厳しく求めるようになった。

 そして、榎本監督が「全部(のレベル)を増やしている」と認める松原は千葉入りを勝ち取った。今回、千葉に練習再開した後も、Jクラブ内定選手としての立ち振舞いを見せているという。「全然行って通用しない部分の方が多かったというのは自分でも分かっている」と分析する松原は日常から人一倍の努力を続け、千葉の先輩GKたちとの差を少しでも縮めてプロ入りすることを目指していく。

 松原は伊佐孝徳GKコーチや、先輩のGK猪瀬康介(現琉球)とGK佐藤藍大(現桐蔭横浜大)、ライバルのGK青木翼(3年)らと過ごした流経大柏での3年間に感謝する。「一番は、1年生の時から試合で使ってもらったことで自信をつけれたと思うので、そういう自信が来年からプロのステージに上がれる要因かなと思います」。1年時から名門のゴールを守り、選手権全国準優勝。自信をつけた松原は年代別日本代表や高校選抜候補へと飛躍することができた。そして今年、プロ入りのきっかけを作ってくれた流経大柏に自分が選手権タイトルをもたらす気持ちでいる。

「選手権優勝。来年から自分はプロの世界に行くんで、誰よりもチームを引っ張っていかないといけないという気持ちがあります。コロナもあってインハイもプレミアも思うような形でできなかったんですけれども、選手権は色々な人達のお陰でできるという感謝の気持ちを持ちながら一戦一戦戦って、最終的には全国優勝して終わりたいです」。来年以降、千葉の勝利に「少しでも貢献できるようにしたい」と意気込む松原は、流経大柏に恩返ししてからプロ生活をスタートする。

(取材・文 吉田太郎)
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