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四日市工は松阪工との接戦制す! 2年連続で三重ベスト4進出、「昨年よりももう一つ上」へ

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DF栢森啓太の得点で四日市工高がベスト4へ

[10.31 選手権三重県予選準々決勝 四日市工高 2-1 松阪工高 伊勢フットボールヴィレッジD]

 第99回全国高校サッカー選手権三重県予選は31日、準々決勝を行い、四日市工高と松阪工高が対戦。前後半に1点ずつ奪った四日市工が勝利した。3日の準決勝では三重高と対戦する。

 2回戦、3回戦はDF澤田陽向(3年)と白川龍河(2年)によるCBコンビが集中力を絶やさず被シュート0で勝ち上がってきた四日市工だが、この日は松阪工が繰り出すパワフルな攻撃に手を焼く。ボールを持ったら1トップのFW杉一真(2年)やスピードのあるFW西山育(3年)へとシンプルに展開する相手に押し込まれる時間が続いた。攻撃も違いが作れるMF中島悠翔(3年)とFW渡辺温貴(3年)へのボールが入らない時間が続いたが、徐々に相手エリアでの時間が増加。前半31分にはMF吉中研人(2年)が上げたクロスをファーのMF前岨依吹(3年)が折り返し、最後は渡辺が決めた。苦しみながらも手にしたリードは続かず、34分には松阪工に決定機が訪れた。MF中川蓮(3年)が入れた浮き球をDF南勇人(3年)が頭で反応。最後は杉がダイレクトで押し込み、試合は振り出しとなった。

 今大会初失点を許した四日市工だったが、「彼らの緊張が解け、やらなくちゃいけないという気持ちになってくれた」(島田浩幸監督)。吉中も「同点にされてからは押されそうになっていたけど、自分たちのリズムを作り直させた。最後は気持ちで押し込めた」と続ける。

 ハーフタイムに島田監督から「ヘディングで負けないこと、セカンドボールの回収率を上げること、マッチアップで負けないこと」をミッションとして課せられた選手はパワフルな松阪工に対し、気持ちで対抗。攻撃も「相手の裏がスカスカになっていたので、2列目から裏に抜け出そうと考えた」渡辺の動きによって再び活性化した。後半20分には相手のロングスローを白川が跳ね返したこぼれを素早く前線に展開。途中出場のFW佐藤真希人(2年)がドリブルからゴールを狙ったが、GK杉江磨渚斗(3年)に阻まれた。

 以降もあと一歩及ばない場面が続いたが、後半37分には吉中のスルーパスに左サイドを駆け上がったDF栢森啓太(3年)が反応。PA左からゴール左隅に決めた。「攻撃が好きな選手だけど、今日は背中を狙ってくる相手なので守備を意識して、攻め上がりを自重していた。でも、最後は自分を解放した感じがした」(島田監督)柏森の一撃が決勝点となり、四日市工が2-1で勝利した。

 今年はコロナ禍による影響で、合宿が一切できず例年のようなチームの一体感が持てずにいた。昨年記録したベスト4以上を目指す島田監督はチームの仕上がりに焦りの色を見せる一方で、選手は思うように気持ちのスイッチが入らない。互いの心がすれ違う時期が続いたが、コーチの尽力、選手同士の話し合いが実り、「この10日間くらいは凄く集中してトレーニングをしてくれている」(島田監督)。

 14年ぶりの準決勝進出だった昨年は四日市工に0-1で敗戦。島田監督は決勝へ進めなかった悔しさよりも、「四中工を相手に0-1で済んだ」と安堵する気持ちの方が強く感じたという。もちろん、晴れ舞台に慣れていない難しさはあったため、多くを望むのは難しい。経験値の高い四日市中央工の選手に一生懸命食らいつく選手たちの姿が印象的だったが、2度目のチャレンジに挑むからには今度の目標は決勝進出を狙いたい。試合後には、島田監督から選手に「昨年あそこまで経験できたなら、今年はもう一つ壁を乗り越えてみないか」と声をかけられた。そうしたハッパもあり、今年は選手の目の色が違う。「昨年よりももう一つ上。決勝に行けるよう次も頑張りたい」と口にする渡辺を中心に、まだ見ぬ景色に到達するつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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