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龍谷が3年連続の選手権出場へ…佐賀商との接戦は粘り強い守備で制し、決勝進出決める

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先制点に歓喜する龍谷

[11.1 選手権佐賀県予選準決勝 龍谷高 1-0 佐賀商高 佐賀サンライズパーク陸上競技場]

 ピンチは一度や二度ではない。しかし、ゴール前で守備陣が粘り強く戦い、3年連続の選手権出場に王手を掛けた。

 11月1日、第99回全国高校サッカー選手権佐賀県予選の準決勝が佐賀サンライズパーク陸上競技場で行われ、昨年度の代表校・龍谷高は2012年度以来14度目の選手権出場を目指す佐賀商と対戦。序盤から相手に押し込まれる展開となったが、前半に奪った虎の子の1点を最後まで守り切った。

 序盤に主導権を掴んだのは4-4-2の布陣で挑んだ佐賀商。MF前田竜之介(2年)とMF橋本尚樹(3年)が中盤の底でセカンドボールを拾い、最前線に構える主将のFW山下健人(3年)に素早くボールを付ける。ここから手数を掛けずにペナルティエリアへ運び、相手ゴールを脅かした。しかし、最後のラストパスが合わず、得点を奪うまでには至らない。自分たちのペースで試合を運びながらも、1点が遠かった。

 一方の龍谷は中盤の守備が機能せず、良い形でボールが奪えない。「(4-4-2の布陣で挑んだ中で)ボランチの2人が相手を警戒しすぎて、後ろに下がってしまった。中盤のバランスが悪いから、自陣でボールが拾えない」と太田恵介監督が嘆いたように、出足の鈍さが目立って我慢を強いられた。しかし、その嫌な流れをFW又吉耕太(2年)が断ち切る。前半19分、FW松尾亮汰(3年)が左サイドを単騎で突破して左足でシュートを放つ。相手GK山口晃毅(3年)の好セーブに阻まれたが、こぼれ球に又吉が反応。狡猾な動きでファーストチャンスをものにし、チームに貴重な先制点をもたらした。 

 1点を先行したことで選手たちは落ち着きを取り戻す。指揮官からも「中盤のラインを上げるように」と指示を受け、序盤の問題点も解決。消極的なプレーが目立っていたボランチの甲斐蓮太朗(3年)と大石遼馬(3年)も攻守のつなぎ役として機能し、チーム全体で本来の良さが出てくるようになった。その後も幾つかのピンチを迎えたものの、守備陣の奮闘で無失点。粘り強く戦い、1-0でハーフタイムを迎えた。

 しかし、後半に入ると、龍谷は再び出足の鈍さを見せる。相手の勢いにも押され、取り戻した流れを持続させられない。又吉耕の兄・GK又吉春太(3年)やCB野添永凪(3年)を軸に何とか凌いでいくが、時間を追うごとにゴール前で肝を冷やす場面が増えた。残り20分を切ると、相手が4-1-4-1の攻撃的な布陣に変更。最終ラインの背後にボールを蹴られる展開となり、さらに苦しい状況となった。後半30分には山下のスルーパスからMF柴木佑大(3年)にチャンスを作られる。しかし、これは相手のクロス精度に助けられ、ことなきを得た。直後の33分にもゴール前で柴木に仕掛けられたが、野添が身体を張った守りでピンチを救う。

 さらにパワープレーを仕掛けられた終了間際。橋本の右クロスが味方DFに当たり、ボールがゴールマウスへ向かってしまう。あわやという局面だったが、又吉春が機敏な動きでビックセーブ。「ディフレクトしたボールに対応する練習は普段からしている」と胸を張った守護神の好プレーで、最後のピンチを凌ぎ切った。

 決勝の相手は佐賀東高。直近2年の対戦では勝利を収めた因縁の相手となる。準決勝は何とか勝ち切ったが、次も一筋縄ではいかない宿敵だ。「2トップは役割を果たしてくれたし、最終ラインもやってくれたけど、中盤の改善をしないとまずい」とは太田監督の言葉。佐賀商戦で露呈した課題を次の1週間で改善し、3年連続となる檜舞台への挑戦権を掴み取る。

(取材・文 松尾祐希)
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