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[MOM3264]前橋商GK水村悠夢(3年)_足でも止めた! PKキーパーが予選2度目の“3本ストップ”

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前橋商高GK水村悠夢(3年)

[11.1 選手権群馬県予選準決勝 桐生一高1-1(PK3-4)前橋商高 敷島公園サッカー・ラグビー場]

 劇的な同点ゴールでたどり着いた運命のPK戦、主役の座を射止めたのは最後の冬をPKにかける3年生守護神だった。延長後半終了間際に交代投入されると、PK戦では相手2巡目のキックから怒涛の3本連続ストップを達成。最後は味方のキッカーを信じ、公立名門校を4年ぶりの決勝の舞台に導いた。

 規定の80分ハーフを0-0で終えて迎えた延長戦、過去10年で3度の全国出場を誇る桐生一高に挑んでいた前橋商は延長前半5分に失点して窮地に陥ったものの、同後半6分にFW仲宗根純(3年)が劇的な同点ゴール。そのまま時間が進んでPK戦が見えてきた同9分、満を持して投入されたのがGK水村悠夢(3年)だった。

「練習試合でもこれを想定して、後半ラスト2、3分に出ることをやってきた」。そんな守護神は1年次にも途中出場で選手権予選に出場し、昨季は総体予選でゴールを守っていた実力者。今季の正GKはビルドアップやキックを強みとするGK長谷川翔(3年)が務めているが、183cmの上背を活かしたセービングが評価され、今大会では“PKストッパー”の大役を担っている。

 水村にとっては今大会2度目の出番だった。10月10日に行われた2回戦では昨年度準優勝の健大高崎高戦に同じくPKストッパーとして出場し、3本を止めて強豪撃破に大きく貢献。この日は「そのイメージは残っていた」という自信を胸に、長谷川からもらった「最後、信じてるからやってくれ」という言葉にも背中を押されながら運命のゴールマウスに向かった。

 1巡目のキックは相手が成功させた一方、味方のキッカーが止められて失敗。それでも、ここから水村が本領を発揮した。2人目に出てきた相手のGKのキックを見事な読みでストップすると、そこから3本連続で阻止。読みが外れてボールとは異なる方向に飛んだ場面もあったが、見事な反応で足を出して止めるなど、シュートストップの質の高さを見せつけた。

 PKの際に意識しているのは「とにかくデカく見せること」。手を大きく広げてゴールを小さく見せるような構えから、「最後までしっかりボールを見られた。止められる場所に来たのでちゃんと当てるだけだった」という冷静なセービングを次々に繰り出し、相手キッカーに大きなプレッシャーをかけていた。

 その結果、味方が2本続けて外すという危ない場面があったものの、サドンデスで相手の7人目キッカーが外して勝負あり。最後は味方のDF庄田陽向(2年)が落ち着いて決めると、「ずっと練習してきたので絶対に決めてくれると思っていた」と信じて見守っていた水村も歓喜を爆発させた。

 この勝利により、前橋商は16年ぶりの全国出場に王手。水村にとっても「育英と桐一を倒して全国に行くのが目標だった」という悲願の場所に大きく近づいた形となった。「自分は先発では出ないと思うので、まずは頑張ってもらいたい」と自らの役割に全てをかけるPKストッパーはもし決勝で再び出番が来ることになっても「気持ちを変えず、強気に行きたい」と準備万端だ。

(取材・文 竹内達也)
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