beacon

[MOM3267]上田西FW鈴木翔(3年)_最終学年になって「変わった」ストライカー、待望の初ゴールで仲間を決勝へ導く

このエントリーをはてなブックマークに追加

上田西高FW鈴木翔は、大会初得点が決勝点に

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 選手権長野県予選準決勝 上田西高 2-1市立長野高 アルウィン]

 背番号9を授かり、エースとして期待される上田西高FW鈴木翔(3年)だが、今大会は準決勝まで無得点。「この大会で活躍できていなかったので、絶対に決めてヒーローになってやろうと思った」と意気込んだ市立長野高との一戦では、「有言実行」の活躍を見せた。

 これまでの試合で得点が奪えなかったのは、「こぼれ球への意識が鈍かったり、シュートへの意識が低かった」。そのため、初得点を切望したこの日は「前を向いたら打つという気持ちでプレーした」。しかし、前半は相手に押される展開が続き、低い位置に下がってポストプレーが目立った。

 そうした影響もあり、前半のシュートは0本。後半からは、「もっと前でプレーしないと点が獲れないと思った」と振り返る。上田西は後半10分にCKからDF畑島卓馬(3年)がヘディング弾を決めて先制するも、直後の12分に同点ゴールを献上。同じピッチに立つ選手が喜びに沸く姿は、ストライカーとしての本能を掻き立てた。

 失点後の16分に市立長野が追加点を奪うため、3選手を投入し、4バックから3バックに変更したのは鈴木にとって追い風だった。「DFが4枚より、3枚の方がサイドの裏が空く。しっかりそこを狙って、裏を信じて走ろうと思っていた」と振り返る鈴木に決定機が訪れたのは30分。右サイドをMF岩瀬慧斗(3年)が抜け出し、ゴール前にパスを入れると、後方から走り込んだ鈴木がダイレクトで合わせ、ゴール左隅に決めた。

 待望の初ゴールは、チームを4年連続での決勝進出に導く決勝点。狙い通りヒーローになった鈴木は、「岩瀬は中学の頃からのチームメイトなので、良いボールが来ると信じて中に入ったら、思った通り良いボールが来た。この大会ではゴールを決められていなかったので、チームが苦しい状況で決められて良かった」と笑みを浮かべた。

 この日の試合で見せたポストプレーやゴール感覚を見ると、ポテンシャルの高い選手であるのは明らかだが、これまでは私生活での甘さが見られ、思うようにAチームでの出番を得られずにいた。しかし、高校生活最終の年を迎えた今年は、彼にとっての転機が訪れた。

 千曲高から赴任した佐藤純コーチが、寮生活の指導をするようになり、「自分たちのためを想って、規律とかを正してくださった。私生活が良くなったのが、サッカーにも繋がっている。当たり前のことができるようになった」。クラスメートの畑島は鈴木の変化について、こう話す。「練習に取り組む姿勢や、学校生活を見ていると、2年生の頃とは違う」。

 上田西に来てから、心身共に逞しくなった男の活躍は、準決勝だけに留まらないはずだ。「これまではスタンドから見ていたけど、決勝の戦いは難しいと思う。そこで勝てば選手権に出場できるので、気を緩めずに戦いたい。今まで迷惑かけてきた分、しっかり返していきたい」と決勝での恩返し弾を狙いに行く。

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

TOP