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帝京長岡がPK戦を制し新潟決勝へ!「今年は今年」のスタイルで…選手権4強の最強世代を追う

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DF松村晟怜(2年)がPKを決め切り、歓喜爆発の帝京長岡イレブン

[11.3 選手権新潟県予選準決勝 帝京長岡高 0-0(PK5-3)北越高 長岡ニュータウン運動公園]

 第99回全国高校サッカー選手権の新潟県大会は、3日に長岡ニュータウン運動公園で準決勝を行った。第1試合では前回選手権4強の帝京長岡高がPK戦の末に北越高との技巧派対決を制し、決勝進出を決めた。

 両チームは、前回大会でも準決勝で対戦。プロに進んだFW晴山岬(町田)、MF谷内田哲平(京都)、DF吉田晴稀(愛媛)の3人を擁した帝京長岡が4-0で快勝し、初の全国ベスト4入りへと快進撃を見せた。最強世代の背中を追う帝京長岡と、雪辱を期する北越の対戦は、互いに譲らない熱戦となった。

 前半は、互いに慎重だった。立ち上がりは、帝京長岡が前からプレッシャーをかけ、守備からリズムを作った。しかし、PA内まではなかなか侵入できず、前半19分にFW梶山はるま(3年)、前半終了間際に左利きのMF廣井蘭人(1年)がそれぞれミドルシュートを打つに留まった。

 対する北越は、3バックの中央に配したDF下間蔵之介(3年)を軸としたポゼッションを展開。双子の下間蓮之介(3年)が務めた右WBや左WBの塚田翔也(3年)、両脇のCBが中央、ワイドを交互に取り合ってコースを作り、CBが積極的に持ち運ぶ独特の攻撃で押し返したが、シュートは打てなかった。

 しかし、後半に入ると一気にペースアップ。先にギアを上げたのは、帝京長岡だった。後半から投入したFW石原波輝(3年)が早速、左サイドを突破。後半5分にも石原がラストパス。後半11分には昨季から主力のMF川上航立(3年)が左から2人を抜いて好機を演出した。

 だが、北越が後半16分に長身FW阿部峻伍(3年)を投入すると、試合の流れが変わった。直後、北越は、中盤の空中戦で押し返した球をMF三島旭陽(3年)が軽いタッチで相手の頭上を越して前に流すと、阿部が抜け出てGKと1対1のチャンス。しかし、帝京長岡のGK佐藤安悟(1年)が大きく壁を作って、足下に飛んだシュートを防いだ。

 その2分後には、帝京長岡に決定機。FW葛岡孝大(3年)がロングパスを胸トラップで後方に落として、すぐさま相手の背後へ抜け出すと、MF廣井が柔らかい浮き球を合わせてラストパス。葛岡がツータッチボレーでゴールを狙ったが、惜しくも枠を捉えなかった。後半29分には、北越は右ショートコーナーから阿部がヘディングシュートを放つなど、互いに攻め合った。

 一進一退の攻防は80分で決着せず、延長戦に突入。延長前半3分、北越は右からのアーリークロスを阿部が胸で落として途中出場のMF酒井鉄平(3年)がダイビングヘッドで狙ったが、惜しくもゴール左に外れた。同8分にも左クロスから阿部が惜しいヘディングシュートがあった。帝京長岡は主将のMF川上が負傷交代する苦しい展開だったが、延長後半2分には昨季の主力で負傷明けのMF酒匂駿太(3年)の突破からMF糸永誠也(3年)がシュートを放つなど反撃。しかし、両軍ともに点を奪えず、PK戦へ突入する。

 PK戦は、先攻の帝京長岡が3本目にGK佐藤のセーブでリードを得て、5人目のDF松村晟怜(2年)までキックを成功させて5-3で勝利。3年連続8回目となる全国大会出場に王手をかけた。

 帝京長岡は昨季、プロ内定3選手を擁して全国4強に進出。技術力を存分に発揮するパスサッカーでファンを唸らせた。その姿をもう一度と期待する声もあるが、真似をするだけでは、今季の良さは引き出せない。酒匂は「昨年は昨年、今年は今年。チームの色も違う。今年は(プロに行くような)スーパーな選手はいないので、全員で声をかけ合っていかないと勝てない。3年生で引っ張るだけ」と話した。

 今年は今年の良さを発揮し、昨季のチームを追い越すことが目標だ。主将の川上は「昨年より、技術や個の力は劣るけど、今年の方が運動量があって走れるし、戦えるし、声も出せる。そこが今年のチームの良さ。今年は絶対に日本一を獲りたい」と意気込みを語った。まずは、新潟県代表の座を勝ち取りに行く。7日にデンカビッグスワンスタジアムで行われる決勝戦では、準決勝第2試合を制した新潟明訓高と対戦する。

(取材・文 平野貴也)
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