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大量4発の出水中央が3年連続で鹿児島4強!「優勝に飢えている」選手たちが負けられない準決勝へ

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ダメ押しの4点目を挙げた出水中央

[11.5 選手権鹿児島県予選準々決勝 出水中央高 4-0 沖永良部高 吹上人工芝サッカー場]

 昨年度のファイナリストが初の4強入りを目指す離島の公立高を退け、3年連続の4強入りを決めた。

 第99回全国高校サッカー選手権の鹿児島県大会は5日に県内で準々決勝を行い、吹上人工芝サッカー場の第1試合では出水中央高が4-0で沖永良部高を下した。

 試合は序盤からスコアが動く。4-3-3の布陣でスタートした出水中央は「最初の入りが悪かった。初めてベスト4を懸けて準々決勝にチャレンジしたので、選手たちは緊張していた」(下瀬喬司監督)という沖永良部の隙を見逃さなかった。開始直後の前半3分、相手のFKをGK又吉信志(3年)がキャッチ。そのまま前方に蹴り出すと、ボールが最終ラインの背後にこぼれる。すると、裏のスペースに抜け出したFW渡慶次光一郎(3年)が沖永良部のGK石井太陽(3年)に倒されてPKを獲得。これを自ら決め、早々に先制点を奪った。

 さらに直後の8分には右サイドでCKを獲得。左SBの花吉虹紀(2年)が左足でボールを入れると、CB副島康輝(2年)が頭で合わせてリードを広げた。「今日のポイントはセットプレーを含めたリスタート。(試合前の分析で)子供たちがしっかり整理して体現してくれた」(下原耕平監督)。序盤から硬さが見られた相手の弱点を突き、試合を優勢に運んだ。

 以降はMF谷本啓斗(3年)、MF外西海杜(3年)、MF柿木亮(2年)が強度の高いプレスでボールを奪い、素早く前線にボールを供給。スピードに長けた最前線の渡慶次らが積極的に仕掛け、何度も相手を脅かした。31分には最終ラインの背後でボールを受けた渡慶次がループシュートを放つと、相手DFが搔き出し切れずにオウンゴール。出水中央はリードを3点に広げ、前半を終えた。

 迎えた後半も主導権を握り、相手を自陣に押し込む。後半8分には渡慶次のラストパスを右サイドで受けた谷本が右足を一閃。強烈な一撃は逆サイドネットに突き刺さり、勝負を決定付ける4点目を奪った。
 
 これで攻めに出るしかなくなった沖永良部はFW佐々木春希(3年)を中心に反撃を試みる。15分には4-2-3-1から4-4-2に移行。サイドアタックに勝機を見出し、攻撃の出力を高めていく。しかし、MF若宮一誠(3年)、MF森泰雅(3年)が中盤の底からパスを供給できず、ボールを失う場面も散見。思うようにゲームを組み立てられず、シュートに持ち込むことができなかった。

 終始相手を圧倒した出水中央は4-0の快勝。シュート本数も10本に対して被シュートはわずかに2つと、攻守で相手を圧倒した。7日の準決勝では鹿児島城西高と対戦する。出水中央は一昨年度の新人戦から4大会連続で決勝に勝ち進んでいるが、いずれも敗北しており今年に懸ける想いは強い。「(一昨年の新人戦から)4大会連続で県大会の決勝で負けている。なので、選手が一番優勝に飢えているはず。準優勝をしても鹿児島城西や神村学園みたいにインパクトを残せていない。とにかく何とかして結果を残したいので、僕らは選手たちの手助けをしたい」とは下原監督の言葉。歴史を変えるためにも、セミファイナルは負けられない。

 一方、敗れた沖永良部は離島勢初の4強入りを果たせなかった。悔しさが残る結果だが、後悔はない。応援に駆け付けた家族と試合後に記念写真を行った彼らからは、清々しい表情が見て取れた。佐々木は言う。

「このチームでもっとサッカーをしたかったから勝ちたかった。でも、全力でチームとして取り組んだからベスト8まで勝ち進めたので良かった」

 台風の目として大会を盛り上げたのは間違いない。今遠征のために資金面なども含めて協力をしてくれた島民に感謝の気持ちを伝えるべく、胸を張って沖永良部島に戻る。

(取材・文 松尾祐希)
●【特設】高校選手権2020

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