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[MOM3280]名経大高蔵FW原侑大(3年)_“一番下”から這い上がった男「憧れの場所だった」

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名経大高蔵高FW原侑大(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.7 選手権愛知県予選準決勝 名経大高蔵高2-1中部大春日丘高 パロ瑞穂]

 チームを初となる決勝へと導いた名経大高蔵高FW原侑大(3年)。現在こそ、スターティングメンバ―に名を連ねるが、FWにコンバートされてから日は浅かった――。

 名経大高蔵は昨年度のインターハイに出場。今年、最上級生を迎えた選手の多くも一年前の全国大会を経験しているが、原は違う。「インターハイの頃、僕は一番下のチーム。Bチームよりも下のチームでやっていた」。そして、優勝した今年の新人戦でも、試合に出ていない。しかし、新人戦後に「初めて入った」と、「憧れの場所だった」Aチームのメンバー入りを果たすことになった。

 当時は中盤の選手としてメンバー入り。だが、「活動がなくなって一番悲しんだと思う」と振り返ったように、新型コロナウイルスの影響で自粛期間に。「一人でできることが止める蹴るの基本練習やシュート練習だった」と黙々とトレーニングをこなしていたが、実戦の場に立つことはなく、「結果を出す前に、Aチームではなくなってしまうかもしれない」と不安も感じることもあった。そして、インターハイが中止と決定した後に、原に転機が訪れる。

 それが、FWへのコンバートだった。「インターハイの中止が決まった後、6月か7月にFWへのコンバートを伝えられました。最初は戸惑いがあった」と言うが、今予選では島井雅也監督の期待に応えるようにゴールを積み重ねる。

 そして、準決勝の中部大春日丘戦では1-1で迎えた後半28分にMF若松虎徹のラストパスからネットを揺らし、決勝点を記録して、チームを初の決勝へと導いた。「それまでシュートを外していたので、決められてシンプルに嬉しかった」と白い歯を見せた。

「得点力が自分の一番の武器だと思うので、決勝では1点とは言わず、2点、3点と取って、チームに貢献して、全国に行きたい」。全国まで、あと一つ。「一番下のチーム」から這い上がってきた男は再びネットを揺らし、チームに勝利をもたらそうと燃えている。

(取材・文 折戸岳彦)
●【特設】高校選手権2020

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