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[MOM3284]大手前高松MF正木浩輔(3年)_本調子を取り戻した10番が大一番で決勝弾「仕事を果たせて良かった」

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決勝点をマークしたMF正木浩輔(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.7 選手権香川県予選決勝 坂出商高 0-1 大手前高松高 Pikaraスタジアム]

 仕掛けて良し、パスを出して良しのマルチなアタッカーで、相手ゴールに襲い掛かる鋭いロングスローも備える。川上暢之監督が、「正木クンは、教えられない物を持っている。あの子に高い位置でボールを入れるのが、攻撃のポイント」と一目置くのが大手前高松高の10番を背負うMF正木浩輔(3年)だ。

 前半は、「雨が降ってピッチが濡れていたので、ピッチコンディションを意識しながらパスを出していた」。前半5分に、自陣左からFW足立大和(3年)を走らせた長いパスも、スリッピーなピッチを考慮し、ボールがいつも以上に走ると判断とした好プレーだった。また、相手のプレスが弱ければ、左サイドをスルスルと持ち運んで高い位置まで侵入するなどチームの攻撃を牽引したが、ゴール前での仕事はできず、前半のシュートは0本。川上暢之監督は「サイドでプレーした前半は、サイドのアップダウンとクロスで良さが出し切れていなかった」と振り返る。もう一つの持ち味であるスローインも、「雨で手が滑って、あまり飛ばなかった」(正木)が、長いボールが飛ぶと警戒して、ゴール前を固める相手の裏を突いて、ニアの選手に投げるなど機転を利かせてプレーした。

 後半からは、4-2-2-2の左サイドハーフから、4-1-4-1のシャドーに移動。このシステム変更は、正木が中央からサイドのスペースに飛び出すのが思惑で、前半16分に意図通りの崩しが生まれた。右サイドをドリブルで抜け出した足立が中央の正木にボールを預けると、正木はドリブルでPA右へと進んだ。クロスを警戒し、身を投げ出したDFを冷静に切り返しでかわした正木は左足で低いクロス。ニアに飛び込んだMF松田築(3年)には合わなかったが、直接ゴール左隅に吸い込まれた。「狙ったわけじゃなく、クロスだった」と振り返るプレーではあるが、思惑は狙い通り。「切り返したのは右足でクロスを上げたら、GKに直接向かわないと思ったから。切り返して、左足で上げれば、誰かに当たっても1点になると思っていた」。このゴールが決勝点となり、大手前高松が2年連続となる選手権出場を掴んだ。

 1年生から出場機会を掴む正木が、予選決勝に挑むのは3回目。1回目となった1年生の際は、何もできず四国学院大香川西に0-2で敗戦。2度目の昨年は、初の選手権出場を手にしたが、「左サイドからチャンスを結構作れたけど、結果を残せなかった」と振り返る。今年はプリンスリーグで無得点。今大会も怪我で出遅れたため、「焦りを感じていた。チームを勝たせるために点を獲って、みんなを落ち着かそうと考えていた」。復帰戦となった準々決勝の観音寺一高戦でヘディング弾を叩き込むなど、徐々に本調子を取り戻し、この日は大一番での決勝ゴール。「自分の得点でチームが落ち着き、勝つことができた。仕事を果たせて良かった」と胸を撫でおろした。

 自身の活躍を喜ぶ一方で、この日の勝利がスタートラインだということもよく理解している。目標は全国ベスト8で、そのためには自らの活躍が欠かせない。「どのチームも強いと思うし、攻守両面で激しいとも思う。うちはセットプレーが強みだと思うので、セットプレーやCKから点を獲っていきたい。自分が点を獲れればチームの勢いが出たり、落ち着くと思うので、そうした選手になれるよう頑張りたい」。昨年以上に頼もしさとエースとしての貫禄が増した正木なら、2度目の全国で大暴れしてくれるだろう。

(取材・文 森田将義)
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