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青森に波乱は無し!“絶対王者”青森山田が後半3発で24連覇達成!

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青森山田高が青森24連覇を達成

[11.8 選手権青森県予選決勝 青森山田高 3-0 八戸学院野辺地西高 カクヒログループアスレチックスタジアム]

 青森山田が24連覇! 第99回全国高校サッカー選手権青森県予選決勝が8日に開催され、昨年度全国2位の青森山田高がU-17日本代表MF松木玖生(2年)の先制ゴールなどによって3-0で八戸学院野辺地西高に勝利。24年連続26回目の全国大会出場を決めた。

 昨年度全国高校選手権優勝の静岡学園高(静岡)や17年度日本一の前橋育英高(群馬)、福島の絶対王者・尚志高(福島)、J内定4選手の興國高(大阪)など注目校が相次いで予選敗退。青森山田のU-19日本代表候補CB藤原優大主将(3年、浦和内定)は「(他の“波乱”のような結果は)気になっていましたし、結構色々な人からも連絡を頂いていて、チーム内でも他人事ではない、明日は我が身だという話をしていました」と振り返る。

 八戸学院野辺地西との決勝は、一昨年が試合終盤の決勝点による1点差勝利。昨年はPK戦の末の白星だった。もちろん油断は無かったが、他の都道府県の“波乱”がより引き締める材料に。王者は立ち上がりから精度に加えて、競り合いの強度、切り替えの速さでも上回った。

 激しい接触で両校の選手が倒れると、いち早く立ち上がってボールに向かっていたのは青森山田の方。藤原は「スキルだったら自分たちに分があるかなと思っていたんですけれども、野辺地西さんの良いところは戦う部分や球際、競り合い。昨年、一昨年と相当戦って差を埋めるくらいやってきていたので、競り合いやセカンド回収でどれだけ上回れるかだと思っていた」と説明する。

 その言葉通り、青森山田は序盤から気持ちの込もった戦いを見せた。だが、八戸学院野辺地西も自力のあるチーム。青森山田は10分に右CKからMF宇野禅斗(2年)が枠へ右足シュートを飛ばしたが、野辺地西はGK鈴木奏汰主将(3年)がファインセーブで弾き出す。

 また、野辺地西は相手の縦に速い攻撃をDF堀田玲穏(3年)が幾度も弾き返していたほか、3バックの中央に入ったDF風穴真苑(3年)やDF秋濱昂志(3年)がカバー。青森山田は松木が右MF仙石大弥(3年)との連係などからチャンスを生み出したほか、MF安斎颯馬(3年)のPAへ侵入する動きやCK、FK、そして右SB内田陽介(3年)のロングスローでゴール前のシーンを作り出したものの、先制点を奪うことができない。

 逆に野辺地西は敵陣でセットプレーを獲得したほか、FW平尾綸太郎(2年)が前線で健闘し、MF高谷宥輝(3年)がスピードに乗ったドリブルで中盤を突破するシーンもあった。だが、三上晃監督が「もうちょっと惜しいチャンスでCKになったとか、バタバタさせられたら……」と振り返ったように、藤原を中心とした青森山田ディフェンス陣に冷や汗をかかせるまでは至らない。

 青森山田は、前半終了間際に安斎の放ったヘディングシュートがわずかに枠を外れるなど前半を0-0で終了。だが、黒田剛監督が「後半はある程度ボールを握りながら、サイドチェンジを繰り返しながら、相手を左右に揺さぶりながら侵入して行くことができたので今回の勝利に結びついたのかなと思います」と振り返ったように後半、より幅を使い、ギャップを突く攻撃を見せて3ゴールを奪い取った。

 7分に左SBタビナス・ポール(3年、岩手内定)のクロスから仙石の放ったヘディングシュートは枠を外れた。だが、10分、相手のクリアボールをタビナスが頭で繋ぐと、MF小原由敬(2年)から松木へパスが通る。DFのギャップを突く形でPAへ侵入した松木がそのまま左足を振り抜き、先制点を叩き出した。

 青森山田は20分にも安斎の左FKをCB秋元琉星(3年)が頭で押し込んで2-0。直後に野辺地西も高谷のラストパスがFW金津力輝(1年)に通ったが、シュートは枠の左へ外れてしまう。24分にも金津のヒールパスから高谷が抜け出したものの、決め切ることができない。

 追撃のチャンスを活かせなかった野辺地西に対し、青森山田はセカンドボールを宇野らが拾い、サイド攻撃を継続。36分には右CKから秋元が粘り、最後は投入直後のMF内間隼介(3年)が右足で3点目を奪った。セカンドチームでキャプテンを務めてきた内間のゴールに喜びを爆発させるイレブン。そのまま無失点で終えた青森山田が3-0で勝利した。

 青森山田は“波乱を起こさせずに”快勝。一方でDFが入れ替わられるシーンやパスミスがあったことも確かだ。今年は新型コロナウイルスの影響によって、プレミアリーグEASTが中止。リーグ戦は東北の相手に限られ、関東の強豪と対戦する機会を得られなかった。それだけに、黒田監督は「守り慣れていない部分も出ていた。ちょっとやったらいけないミスもあった。これは全国では必ず命取りになる。我々が得た収穫の一つだと思う」とコメント。今後はよりレベルの高いチームとの練習試合を実施しながら、本大会へ向けて準備していく。

 目標は奪還だ。一昨年度の日本一と昨年度の全国2位の両方を経験している藤原は、「県大会で優勝して安心していますけれども、切り替えて、目標を持って、絶対にあの舞台に戻って王座奪還したいと思います」と宣言。青森で今年も強さを見せた青森山田が雪辱の舞台に挑む。

青森山田高が24連覇達成。3年生の控え部員も加わって笑顔

(取材・文 吉田太郎)
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