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J内定4選手の昌平はサイド攻撃も強力。強敵・正智深谷を後半突き放して埼玉連覇へ前進

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昌平高のサイド攻撃を活性化した左SB小澤亮太

[11.6 選手権埼玉県予選準決勝 昌平高 4-1 正智深谷高]

 第99回全国高校サッカー選手権埼玉県予選準決勝が6日に行われ、2連覇を狙う昌平高正智深谷高が激突。鹿島内定MF須藤直輝主将(3年)と新潟内定FW小見洋太(3年)がそれぞれ2ゴールを決め、昌平が4-1で勝利した。昌平は15日の決勝で武蔵越生高と戦う。

 昌平の攻撃は中央だけでは、ない。須藤、小見、鹿島内定MF小川優介(3年)、福島内定MF柴圭汰(3年)のJ内定4選手擁する昌平が、後半の3得点で強敵・正智深谷を突き放して決勝進出だ。

 昌平は前半7分、柴が左サイドで獲得したFKを須藤が右足で蹴り込む。味方選手に合わなくてもゴールを捉える狙いで放たれたボールは、思惑通りに密集を抜けてそのままゴールイン。幸先良く先制点を奪った。

 その後も昌平は、左サイドから再三中央に顔を出す須藤らが距離感を狭くして崩しにチャレンジ。MF平原隆暉(2年)のラストパスから小見が強烈なシュートを見舞うシーンもあった。

 だが、正智深谷は、小島時和監督が「前半は対策通り上手く行っていたんですけれどね。引かずにプレスをかけて、相手のやりたいことはかなり潰せていた」と振り返ったように、昌平に思うようなパスワークを許さない。昌平が得意とするドリブルに対しても数的優位を作りながら粘り強く対応。簡単には穴を開けさせなかった。

 そして、正智深谷は前線へのロングボールのこぼれ球を拾ったMF山本滉(3年)やMF松山碧(3年)がドリブルで仕掛ける。そして26分、右SB川井祥馬(3年)のロングクロスをファーサイドのMF倉林大河(3年)がヘディングシュート。昌平のGK西村遥己(2年)が素晴らしい反応を見せたが、正智深谷はこぼれ球を山本が右足で蹴り込んで1-1とした。

 前半は前評判の高い昌平に対し、正智深谷が堂々の戦いで対抗して見せた。昌平は「セカンドが全く前半拾えなかった」(藤島崇之監督)ことから後半、守備の読みにも優れた右MF平原をボランチに下げ、状態が万全ではない小川をトップ下へ移行。セカンドボールの回収率向上を目指すと、その効果が出てボールを握る時間を増やすことに成功した。

 そして、テクニカルな中盤の攻撃にもリズムが出た。これによって藤島監督が「SBの攻撃も今年に関しては良い形でできています」と語り、左SB小澤亮太(3年)が「昌平の強みは中央なんですけれども、サイドでも活躍して行こうと。どっちも止められないくらい。それは意識しています」と説明するSBの攻撃参加、サイド攻撃が効果を発揮する。

 ポゼッションからドリブル、スルーパスを駆使した攻撃が魅力の昌平だが、特に今年はサイドからでもロングボールからでも得点が取れるチームだ。この日の後半は左の小澤、右の本間温士(2年)の両SBの仕掛け、クロスから貴重な得点が生まれた。

 開始直後に小澤が左サイドから仕掛けてクロス。ボールを支配して連続攻撃を繰り出す。正智深谷もCB大塚天翔(3年)を中心に粘り強い守備を続けたが、体力的に厳しくなり始めた後半21分に勝ち越し点を奪われてしまう。昌平は右サイドの本間がGKとDFラインの間へグラウンダーのクロス。GKが前に出て弾いたボールをエース須藤が右足で決めて2-1とした。

 さらに26分には、CKの流れから小澤がPKを獲得。これをキッカーの小見が非常に小刻みなステップの助走から右足で決めて2点差に広げた。昌平は試合終了間際にも強引に仕掛けた小見がPKを獲得。再び独特な助走から右足で決めて4-1で勝利した。

 スピードのあるドリブルで攻撃を活性化し、勝利に貢献した小澤は「昌平に入ってからドリブルという部分では鍛えられたと思います。(昌平は)プロ行く4人だけじゃない、というところを見せたいと思います」。J内定4選手に注目が集まるが、昌平は他のポジションにも、ベンチにも力のある選手がズラリ。その力を結集して埼玉制覇、そして全国制覇を目指していく。

 須藤はまず何としてもチームメートたちを全国に連れて行く決意だ。そして、「正智とか武南とか、浦南とか高校サッカーに懸けていた人の思いも背負って、凄い良いサッカーをして昌平が埼玉の代表になって、全国に向かっていきたいと思っています」と力を込めた。決勝では今大会快進撃を続ける武蔵越生の堅守を攻略し、埼玉県の代表切符を獲得する。

(取材・文 吉田太郎)
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