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“育成のビジャレアル”と提携、18年連続のスペイン遠征…メソッド取り入れ進化する鹿島学園:茨城

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4年ぶりの選手権出場を決めた鹿島学園高

[11.15 高校選手権茨城県予選決勝 鹿島学園 延長2-1明秀日立 カシマ]

 鹿島学園高はスペイン1部ビジャレアルと2018年6月に業務提携を締結し、メソッドを取り入れている。今大会もビジャレアル育成部所属の佐伯夕利子氏と密に連絡を取り合いながら、4年ぶりの選手権出場を決めた。

 ビジャレアルは日本代表MF久保建英が今季加入したことでも注目を集めるクラブで、育成年代の指導に定評がある。現在のようにその育成力が認知される以前から、鹿島学園はビジャレアルの育成方針やプレースタイルに共感を得て、2003年にスペイン遠征をスタート。新型コロナウイルスの感染が深刻化する前に今年2月にも18年連続18回目の遠征が実現した。

 現地では毎年、ビジャレアルのアカデミーチームと試合を行っており、選手にとっては貴重な経験の場になっている。提携による影響について選手に聞くと、MF大澤昌也(3年)はこのスペイン遠征を挙げた。ユースチームとの対戦は「毎年本当に強くて、大差で負けてしまったりもする」(大澤)が、チームの勝利や武器が通用した経験は自信につながったという。

 主将DF遠藤聖矢(3年)はメソッドを取り入れる影響として、主体性の向上を挙げた。「スペイン人は自ら考えて行動する。その部分を取り入れて、練習や試合でコーチに言われる前に自分たちが率先して行動するようにしたりしています。まだまだ慣れないですが、取り入れたことによって、自分たちの大きな力になったと思います」(遠藤)。

 選手だけではなく、鈴木雅人監督ら指導者が学び、「アップデート」できる環境が整っている。「サッカーはもちろん、育成面でも世界のサッカーは進んでいる。指導者としてもアップデートさせてもらっているというのは大きいです。勝敗に一喜一憂するだけじゃなく、人としてどう生きていくか。それがサッカーに通ずるということも教えていただいています」(鈴木監督)。

 たとえば、怒鳴るような厳しい指導が必ずしも選手の良さを引き出すとは限らない、という捉え方。「昔みたいに怒らない。選手には自由にやらせています」と鈴木監督。指導者が謙虚な姿勢で学び、それまでの手法に疑問符を付けながら、育成メソッドをインストールする。そうして指導者がアプローチを変えることで選手にも変化が生まれ、鹿島学園は進化を続けているようだ。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2020

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