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岩手加入内定のタビナスが日本一に意欲「今年は、良い景色を見たい」

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青森山田高のDFタビナス・ポール・ビスマルク

 プロの世界へ飛び込む前に、日本一の景色を見る! 青森山田高のDFタビナス・ポール・ビスマルク(3年)は、来季のJ3岩手加入が内定している快足サイドバックだ。

 ちょっと、積んでいるエンジンが違う。185cmの長身で小回りが利くというタイプではないが、加速し始めたら、相手をぶっちぎる。「選手権では、守備でピンチを1本止めたり、攻撃でゴールにつながるようなプレーをしたりして、チームを助けたい。攻撃でも守備でも貢献したいですけど、自分の持ち味は、スピード。ボールを奪ってカウンターという場面では、ターゲットになりたいです」と青森山田の伝統である堅守を引き継ぎながら、自身の特長を生かして攻撃参加も狙うつもりだ。黒田剛監督は「ポールは、ずば抜けた身体能力を持っている。経験を積みながら、プレースピードに慣れれば、プロでもやっていけると思う。うちのチーム事情で左をやっているけど、右がベストだと思う」とさらなる飛躍の可能性を示唆した。

 下級生の頃からポテンシャルの高さを評価されていたが、攻守の切り替えが激しい青森山田のサッカーに付いていけず、定位置を獲得しきれなかった一面もある。その中で、攻守に懸命に走る先輩たちに触発され、少しずつ運動量を強化してきた。進路がプロに決まったことで、気持ちも引き締まった。「黒田監督からは、プロを想定して練習しないといけないと言われていますし、どのプレーもみんなよりしっかりとやらないといけない。進路が決まってからは特に、J1に行く(主将で来季の浦和加入が内定している)藤原優大(3年)が意識高く取り組んでいるので、自分も負けずにプロで1年目から出るつもりで、やるようになりました」と、ともにプロの世界へ進むチームメートからも刺激を受け、意識を高く持つ努力をしている。

 父は、ガーナ人。母は、フィリピン人。自身はフィリピン出身で日本育ち。国際色豊かな家庭に生まれ育ったタビナスの夢は、選手としての海外進出。「将来は海外でプレーしたいという希望がありますけど、まずJリーグで活躍しないといけない。試合に出る出ないに関わらずにずっと努力を続ければ結果は出ると思うので頑張りたいですし、1年目から試合に出るぞというイメージも持っています」とステップアップの青写真を描いている。

 兄は、桐光学園高(神奈川)から川崎Fに進み、現在G大阪でプレーするタビナス ジェファーソン。兄を追ってプロの世界へ進むが、その前に為すべきことがある。31日に開幕する第99回全国高校サッカー選手権の優勝だ。チームは、コロナ禍で特別編成されたスーパープリンスリーグ東北で優勝したほか、親善大会や練習試合でも高校生チームには全勝を貫いており、自信をつけている。タビナスは「良い準備ができていて、チームの中心になる主将の藤原や松木玖生(2年)が(U-18日本代表合宿で)いなくても、みんなが積極的に練習に取り組んでいるので、この調子でいけばやれると思います」と手ごたえを示した。昨季は控え要員だったが、今季は主力。持っている潜在能力を発揮するチャンスだ。「前回大会では、準優勝で先輩たちの悲しい背中を見た。残っている時間は少ないけど、絶対に勝てるように練習して頑張りたい。今回は(スタンドの)表彰台に上がって、良い景色を見たい」と全国制覇を誓った。底知れぬ能力を存分に発揮する舞台が、もうすぐやって来る。攻守に快足を飛ばし、昨季あと一歩で及ばなかった頂上まで駆け上がる。

(取材・文 平野貴也)
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