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個の力と声に組織力、より正確な「止める・蹴る・運ぶ」加え、名門・作陽が日本一に挑戦

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作陽高は“カメレオンサッカー”で日本一へ

個の力と声に組織力、質を加えて全国に挑戦する――。第99回全国高校サッカー選手権が12月31日に開幕する。岡山の名門・作陽高は、初戦で星稜高(石川)との名門校対決。県予選は個の力を活かす戦いで制したが、全国へ向けてより組織力、相手を見て丁寧にボールを動かしながら攻める質も高め、06年度以来となる決勝進出、そして初の日本一を目指す。

 今年は新型コロナウイルスの影響によって、チームでのトレーニングが限られたことは確か。その中で迎えた県予選はどのような戦い方が有効なのかを考えた末、前線のFW杉本翔(3年)やMF美濃祥真(3年)、MF西村颯人(2年)といった個の長所を全面に出した戦い方を選択した。

 MF奥龍太郎主将(3年)やGK徳本乃耶(3年)ら後方の選手たちも奮闘。主軸に怪我にもいた中での戦いだったが、「今年新人戦でメンバー外れてインターハイもなくなって、最後選手権に懸ける気持ちは誰よりも強かった」というMF藤本健吾(3年)ら気持ちの込もったプレーも結果を引き寄せた。
 
 コロナ禍で周囲が求める“作陽らしさ”を突き詰める時間はなかった。それでも、休校期間で得た力もある。選手たちはリモートトレーニングを実施したほか、大学や職業について調べてグループで考えをまとめ、発表するという取り組みも行ったという。各選手が自分の考えを言葉で表現する機会は、サッカーにも好影響をもたらしたようだ。

 取り組みの成果もあってか、今年のチームはトレーニングからよく声が出る。相手を見て判断し、お互いに何がしたいのか伝え合い、的確に実行して相手を上回ることは作陽が目指している部分だ。また、前線のスピードや強さで優位に立った県予選だが、随所で光ったのがそのテクニック。決勝も2点を追う岡山学芸館高が後半に反撃を加速させようとしていたが、作陽の選手たちが高いキープ力でボールを落ち着かせてその勢いを削いでいた。

 作陽はコロナによる休校期間、ブログに酒井貴政監督がアップした2つのコーンでできるツーマーカードリブルのメニューを地道に継続。「エラシコ」や「ダブル軸足通し」「片足ブーメランフック」など、当初は下を向いてボールを扱っていた選手もいたが、顔を上げてプレーできるようになった。作陽は伝統的にテクニカルな強みも持つチーム。「止める・蹴る・運ぶのストレスがないことが一番重要かなと。当たり前のことを当たり前にできるように」という指揮官も成長を認める技術は、作陽が全国で勝ち上がるための生命線だ。

 怪我から復調のストライカー、FW大森椋平(3年)は「作陽にいる限り、『止める・蹴る』というのがしっかりとできないと試合にも出られないですし、そこは練習からパススピードやトラップのところを意識してやっています」。今年も“作陽らしい”テクニックは健在だ。

 その「止める・蹴る・運ぶ」や、運動量に好影響をもたらすのがスパイクだ。酒井監督は「スパイク一つでプレーのパフォーマンスは絶対に変わると思います。まず足に合ったものと、自分のプレースタイルに合った軽さ、フィット感って凄く大事だと思います」と語る。

 11月下旬、作陽はサポートを受けているASICS社の協力で「止める・蹴る・運ぶ」の基本動作を徹底して追求した『DS LIGHT X-FLY 4』と、ホールド感や安定性を追求した『DS LIGHT ACROS』の2つのスパイクをテスト。選手たちはプレースタイルに応じてスパイクを選択し、トレーニングで着用していた。

 カンガルー皮革で足に吸い付くようなフィット感を特長とする『DS LIGHT X-FLY 4』は作陽の選手たちが、“当たり前”にできることを目指してきた「止める・蹴る・運ぶ」で違いを生み出すスパイクだ。大森は「(このスパイクは)トラップや、ファーストタッチとかもやりやすいですね」と頷く。

 また、小学生時代から『DS LIGHT X-FLY』シリーズを履き続けているというドリブラー、MF中島理慶(3年)は「タッチとかトラップももちろんそうですし、ドリブルの感触も切り返しとかも悪くないので非常にありがたく思っています」と語り、奥も「(このスパイクならば)ファーストタッチで相手を剥がしたり、キックのところで一気に裏に落としたり、キックやトラップで相手を動かすことができるんじゃないかと思います」と絶賛していた。

 相手を見て、判断して戦う作陽の“カメレオンサッカー”。コロナ禍で積み上げてきたものに加え、“武器”も加えて臨む選手権。杉本は伝統校対決となった初戦へ向けて、「星稜は伝統ある高校。向こうのチームもウチと似たサッカーをしてくるのでそこでは絶対に負けたくない」とコメント。そして、奥は「やっぱり勝ちを目指して自分たちの目標である優勝を成し遂げるために頑張りたいです」と力を込めた。全国大会では個の力と声、そして“作陽らしさ”である組織力、テクニックを発揮して勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)
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