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試合終盤のゴールで明徳義塾が粘る東海学園を突き放し、高知県勢5大会ぶりの初戦突破!!

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明徳義塾高が初戦突破(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[12.31 全国高校選手権1回戦 東海学園 0-2 明徳義塾 駒沢]

 4年ぶり出場の明徳義塾高(高知)が7年ぶり出場の東海学園高(愛知)と対戦。均衡状態が続く中、後半残り5分を切ってから得点を重ね、2-0で粘る東海学園を振り切った。明徳義塾は1月2日に味フィ西が丘で帝京大可児高(岐阜)と2回戦を戦う。

 前線からのプレスでバランスを崩さず、うまくDFの網を張る東海学園は愛知県予選無失点。対する明徳義塾はDF牧野太智(2年)、DF岡崎航大(3年)、DF松下総龍(3年)のCB3枚にDF和田聖生(3年)、MF川村利斗(3年)の両WBも守備に加わる5バックを形成。両チームとも守備から試合を作っていこうとするスタイルは同じ。試合は守り合いの様相を呈した。

 試合開始早々、前からのプレスで主導権を握りかけたのは明徳義塾。「最初から全開で行きました。相手に余裕をもってプレーされたら困る。その点は明確だったので選手たちもいけたと思います」と小松晃監督が振り返る。しかし、「相手を分析しながらロングスローなどの対策をしてきた」と東海学園の鶴田道弘監督が言うように、思い通りにはさせない。公式記録では両チームとも前半のシュートは1本ずつ。いかにシュート機会が限られていたかがよく分かる。

 後半、ペースを握りかけたのは東海学園だった。「前半はボールの動きが少なかった。後半は修正できました」(鶴田監督)と言うように、5バック相手でもDFの隙を上手く突き、サイドから効果的な攻撃を見せる。後半21分には右サイドから抜け出したFW大野啄未(2年)がシュート、こぼれたボールをFW越慎之助(3年)が続けざまにシュートするもGKの好守に阻まれる。最終ラインからチームを見守っていたキャプテンDF佐藤汰一(3年)は「立ち上がりからやりたいサッカーができない時間が続いた中、後半、いい形で1本ゴールに近付けた」ことで自分たちのサッカーが戻ってくる可能性を感じたという。むしろ明徳義塾は難しさを感じていた。キャプテンDF松下総龍(3年)は「前半立ち上がりはよく入れた一方で点を取るのが難しく、相手の流れになった時間帯もあり、難しい試合になりました」と語る。

 どちらにもチャンスがあるゲーム展開。大事なのはどちらがより大きな流れをつかむか。そのチャンスをうかがっていたのは明徳義塾だった。「セカンドボール回収とセットプレーが勝負の分かれ目だと思ってました。そこで交代カードをどこできるか。後半の飲水タイムの前か、後か」(小松監督)。結果、飲水タイム後に2選手を同時交代。特にMF高良泰生(3年)を入れたことでロングスローという飛び道具が明確になり、試合の潮目が変わった。後半36分、左サイドから高良がロングスロー。東海学園ゴール前で競り合いとなり、空中にボールが浮き続けどちらもキープできない。その落ち際にスローインした高良自身が飛び込み、右足ボレーで値千金の先制ゴールを挙げた。

「相手の大きい選手につくことと、自分たちの前にきたボールは跳ね返すこと。映像を繰り返し見ながらやってきたことでした。ただあの場面、一度跳ね返した後に集中力が途切れてしまった」(東海学園・佐藤汰一)

 わずか2分後にも明徳義塾は右サイドからFWホン・ジョンウク(3年)のクロスを左サイドで受けたDF和田聖生(3年)がシュート。これを中央でFW持田憲伸(3年)がプッシュし2点目を挙げた。

 東海学園は4度目の出場で選手権初勝利を狙ったが今回もまたおあずけに。「県予選ではやりたいサッカーをストレスなくできた。でも全国はフィジカルからなにからすべてで下回っていて、自分たちらしさが出せなかった」 (佐藤汰一キャプテン)、「球際の強さ、寄せの速さが県レベルとは違う。選手たちは戸惑っていました」(鶴田監督)と言わしめた明徳義塾は5大会ぶりの選手権勝利。「交代した選手が点を取ったので、選手交代は成功だったということでしょう」と小松監督。一方で後半攻められる時間帯に関しては「前後左右の選手とのコミュニケーション。具体的に、瞬時にコーチングできていないのは絶対に修正しないといけない。この先の試合で大きなウエイトを占めることになると思います」と気を引き締める。

 2回戦の帝京大可児との試合で、修正が効いた試合ができるかどうか。今もチームは成長中。自らを試す試合はまだ続く。

(取材・文 伊藤亮)
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