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エース笠井がハットトリックの関東一、初出場山辺にシュートも許さず完勝発進

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10番のエース笠井が3得点の大暴れ(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[12.31 選手権1回戦 関東一高4-0山辺高 ゼットエー]

 第99回全国高校サッカー選手権1回戦、ゼットエーオリプリスタジアムでの第1試合、関東一高(東京B)対山辺高(奈良)の一戦は、4-0で快勝、16年度以来となる2回戦に駒を進めた。

 選手権初戦、落ち着いた入りを見せたのは黄色と紺色のユニフォームの関東一だった。開始3分には相手のパスミスをさらったFW笠井佳祐(3年)が早速シュートまで持ち込むも枠をとらえきれず。

 全国大会初出場の山辺は、パスをつないでサイド、中央から突破を試みる関東一に押し込まれる時間が続いた。ボールを奪っても攻守の切り替えが速い関東一に対し、なかなかパスを最前線のFW太田凱翔(1年)までつなげない展開を強いられてしまう。

 山辺の5バックを前に崩しきれない関東一は、左サイドバック弓氣田葵(3年)の左足からチャンスを構築していく。CKからDF菅原涼太(3年)と笠井、流れの中からMF肥田野蓮治(2年)がヘディングを狙うも、いずれも枠をとらえることができなかった。

 後半開始と同時にカードを切ったのは関東一だった。支配しながら決めきれなかった展開の中で、「相手がハイライン」だったことを加味し、「背後へ抜けるのがうまい」FW平田晟也(3年)を2トップの一角としてピッチに送り出した。するとこの采配がいきなり奏功する。DFラインとGKの間へのフィードに抜け出た平田が絶妙なトラップからシュート。GK志賀隼太(3年)が反応を見せるも、ゴール前につめていた笠井が押し込んで先手を奪った。そこからせきを切ったようにゴールが生まれ、後半だけで4ゴール。笠井はハットトリックの活躍を見せた。

 無事に大会が開幕を迎えた一方で、この日31日は新型コロナウイルスの新規感染者が4519人と過去最多を更新。東京都も1337人で過去最多となった1日だった。今予選を通じて初の先発に抜擢された関東一主将のMF高木駿(3年)は、東京都の学校としての難しさを語り、「感染者が一番多い地域だからこそ、感染予防はどこの地域よりも意識高くやってきたのは、自分もチーム全員も持っていると思います」と苦難の日々を振り返った。

 あらゆる局面で関東一に遅れをとってしまった山辺の長尾慎祐監督は「1年生、2年生が多いので、来年、再来年に向けてステップを踏めたことはよかった」と収穫を挙げた。先発のうち、GK志賀隼太(3年)を除く10人が1、2年生で、うち1年生は4人を占めた。1年生でキャプテンマークを巻いて1トップで奮闘した FW太田凱翔(1年)は、「ストライカーは結果がすべて」と自責の念を込めた。

「攻撃の時間を長くとれたのが一番よかった」。山辺にシュートを打たせないほど圧倒した関東一。続く2回戦は、同じくシュートをゼロで抑えて快勝を飾った、神戸弘陵高(兵庫)と激突する。

(取材・文 奥山典幸)
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