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[MOM3353]神戸弘陵FW徳弘匠(3年)_2年連続選手権で得点、スピードスターは家族と仲間の想いを胸に

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50mを5秒台で走るという神戸弘陵FW 徳弘匠(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権1回戦 遠野高0-5神戸弘陵高 ゼットエー]

「ゴール前に人数が多かったので、そこをどう崩すかはこの試合に入るときの課題だったんですけど、スムーズに先制点が入ったのが5点入ったところにつながっていると思います」。神戸弘陵高(兵庫)の谷純一監督が指摘するように、開始25秒での先制点は大きなアドバンテージになった。

 遠野高(岩手)は最終ラインを5枚にしていたが、FW徳弘匠(3年)は遠野DFのギャップにスピードを活かして走り込み、左サイドからカットインを試みた。「シュートを打ちたかったんですけど、相手がいたので」。DFを3枚引きつけた徳弘は、パスの出してだったFW松野隼輝(3年)にリターンを送り、先制点をアシストした。

 4バックを採用する神戸弘陵の「サイドバックの前のスペースが空いてくるのはわかっていた」(徳弘)こともあり、サイドバックが高い位置をとることを意識した。すると、左サイドバックのDF小倉慶士(3年)がDF橋本翔和(3年)のロングパスを受け、ゴールライン際までドリブルで持ち込み中央へマイナスのボールを入れる。「自分がサイドに流れないときは、(サイドの選手が)崩しきってくれるので、中で自分は待っている」。徳弘は「浮かないように意識して」右足で流し入れて、チーム2点目を記録した。

 2年生だった昨年度は、1回戦の秋田商業戦でFWが負傷するアクシデントを受けて前半9分に途中出場でピッチに送り込まれた徳弘は、同23分には先制点を挙げた。当時は24だった背番号、今大会は10番を背負ってプレーする。谷監督は、「引かれた相手にはなかなかプレーが出せないというところがあったんですけど、引かれていても、ラインが高くても、突破してシュート、アシストができるところまでになったので、この1年で彼が成長した部分がこの試合に出た」と高く評価する。

 これで選手権で2年連続のゴール。徳弘だけでなく、先発のうち9人が昨年度16強入りした選手権も経験していた。「移動のときからそうですけど、興奮しすぎずいいテンションで。落ち着きすぎても雰囲気が上がらない、興奮しすぎてもいけないのでいいラインで。去年経験した選手を中心にいい雰囲気で臨めたと思います」と徳弘は言う。

 メンバーに入れなかった選手が応援動画を送るなど結束力は高い。「いままで3年間やってきた仲間で、メンバーに入れなくて絶対悔しいはずなのに全力でパワーを注いでやってくれる。今日も夜中からバスで来てくれていますし。支えがあるから、自分たちもがんばろうという気持ちでやれていると思います」。さらに、家族からのメッセージが徳弘の支えになった。「僕は寮生なんですけど、『1人で神戸に行って、よくがんばったね。本番はがんばってね』と。家族がいないと僕はここに来れていないですし。一番感謝すべきは家族。しっかり結果を出せてよかったです」。家族と仲間の想いを背負い、神戸弘陵の背番号10は勝利へと突き進む。

(取材・文 奥山典幸)

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