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矢板中央の2年生GK藤井は昨年の自分と成績を越えて、2つの目標実現へ

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矢板中央高の日本高校選抜候補GK藤井陽登

 進化した姿を示す。矢板中央高(栃木)のGK藤井陽登(2年)は1年前、鮮烈な選手権デビュー。大分高(大分)との初戦でPK戦のヒーローとなると、その後2試合連続無失点勝利を果たすなど、チームの3位に貢献し、大会優秀選手、日本高校選抜候補にも選出された。

 木村大地GKコーチが「(活躍しても)驕りが一切ない。マジメで謙虚」と評する藤井は今年、左手を手術したことで長期間離脱。だが、その期間も地道に右手を使ってのメニューやキック、筋力トレーニングに励んできた。

 夏に復帰してからはセービングのパワーやクロス対応を重点的に強化。日本高校選抜候補合宿で一緒にトレーニングした流通経済大柏高(千葉)GK松原颯汰(3年)から刺激を受け、課題を持って取り組んできた。

「流経の松原颯汰君とかは一緒にプレーした時に巧いと思ったんですけれども、自分に足りないセービングのパワーが別格だったのでそこをもっと自分は追いつけるように」。その後千葉からの内定を獲得した松原は、藤井の指標に。松原を目標にこの数か月でも進化した藤井は、「イメージには近づいて来ています。それにもっと近づけていたらいい」と手応えとさらなる成長への意欲を口にしていた。

 前回大会の選手権では1年生GKとして堂々のプレーを見せたが、意外にも本人は「メンタル的には弱いところがあって、そこまで強くない」と苦笑する。それでも、試合前にいくつものイメージをしながら気持ちを整理することを心がけ、「サッカーになった瞬間は自分の世界に入れる。自分は(サッカーにおける)プレッシャーには強いと思っている」ところは強みだ。

 今回の県予選決勝は2年連続のPK戦決着に。昨年2本を止めている藤井は今年も、1本を止めて4-1での勝利に貢献した。勝負強さや得意のキックでも違いを生み出せる藤井は今年、より注目度された中で迎える選手権。だが、本人はそれに負けることなく、昨年以上の活躍で乗り越える意気込みだ。

 182cmの2年生GKは木村GKコーチの「スケール大きく育ててあげたい」という方針の下、急ぎすぎることなく、高校年代でU-19、U-20世代のトップクラスのGKの力、スピードを身につけることを目指している。もちろん、大舞台で勝ちながら経験を重ねることも将来へ向けて重要。今回の選手権でその成長を加速させることができるか。

 藤井は「まず目の前の選手権で日本一を取るということと、将来的にプロになりたい」。1月2日に初戦(対徳島市立高)を迎える選手権は、互いに勝ち上がれば準決勝で彼の地元・青森県の代表で、意識しているというGK韮澤廉(3年)擁する青森山田高と対戦する組み合わせ。2つの目標を実現するために、まずは仲間たちとともにで昨年の4強超え、日本一に挑戦する。

学校近隣の矢板偀接骨院で肉体強化、ケアに取り組んできた。右は同院長でもある小川和英メディカルトレーナー

矢板中央高は日本一に挑戦する

(取材・文 吉田太郎)
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