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敵将「市船の強さを感じた試合」。相手の隙逃さずに連続得点の市立船橋が7年ぶり8強!

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後半4分、市立船橋高はDF菅谷暁輝(右端)のゴールで先制

[1.3 選手権3回戦 仙台育英高 0-3 市立船橋高 フクアリ]

 市立船橋が強さ示して8強入り。第99回全国高校サッカー選手権は3日、3回戦を行った。前回大会8強の仙台育英高(宮城)と6度目の優勝を狙う市立船橋高(千葉)との一戦は、3-0で市立船橋が快勝。13年度大会以来7年ぶりのベスト8進出を決めた市立船橋は、5日の準々決勝で帝京長岡高(新潟)と戦う。

 前半は互いに守備を安定させながらの戦いだった。その中でビルドアップに長けた市立船橋が、徐々に長短のパスで前進する回数を増加。ボランチのMF坪谷至祐(2年)らが絡んでのコンビネーションや MF八木智哉(3年)の突破なども交えてゴール前のシーンを作り出す。守備もDF石田侑資主将(3年)が手綱を締めながら、DF針谷奎人(2年)やDF菅谷暁輝(3年)が前線に力のある仙台育英を封じながら試合を進めた。

 一方、サイド攻撃を強みとする仙台育英は、右MF明石海月(2年)が仕掛けてクロスを上げ切るなどCKを獲得。セットプレーで競り勝つシーンもあったが、自由にシュートを打たせてもらえない。それでも、前半終了間際、右クロスをニアのFW佐藤遼(2年)が頭で合わせる。前半最大のチャンスだったが、シュートは枠右へ外れた。

 それでも、仙台育英はDF陣が前への強さを示して良い形でボールを奪うなど0-0で前半終了。だが、石田が「セットプレーで1本獲って勝つというチームが市船だと思う」というように、市立船橋は後半立ち上がり、セットプレーから先制点を奪う。4分、FW加藤想音(3年)が右CKを蹴り込むと、中央左寄りの菅谷が頭でゴールを破った。

 市立船橋はさらに7分、MF八木智哉(3年)のスルーパスで抜け出した加藤がGKとの1対1を制して2-0。仙台育英の城福敬監督は「前半は気持ちを集中して保っていたところがありました。(それでも、)相手の隙を見つけて狙ってくる市船の強さを感じた試合でした。勝負どころの得点シーンで必ずものにする力を肌で感じた試合でした」と振り返る。

 連続得点によって「自分たちの動きができるようになった」(波多監督)という市立船橋は、その後もMF佐久間賢飛(3年)ら各選手が「球際、切り替え、運動量」の3原則をしっかりと表現しながら、セットプレーなどから追加点を狙う。そして31分、右CKのこぼれ球を佐久間が押し込んで3-0とした。

 仙台育英も最後までファイティングポーズを取って戦い続ける。37分には右FKを初戦3得点MF島野怜(2年)が頭で折り返し、FW吉田健太(3年)のヘディングシュートがクロスバーを叩く。さらに交代出場MF斉藤涼優(3年)がインターセプトからシュートを狙うなどで攻めたが、市立船橋は揺るがず、準々決勝進出を決めた。

 市立船橋は前半、仙台育英の手堅い守備を攻略しきれなかったが、「ボールを動かそうと。空いたスペースをとって優位に立って行こうと(いう話をした)」(波多秀吾監督)という後半にボールの動きと運動量を増加。今年は特別なタレントはいないかもしれないが、個人個人が勝利への執着心を強く持って戦い、セットプレーなどで勝ち切る強さを備えている。

 現3年生は入学時から、決して高い評価を受けてきた学年ではない。それでも石田は「今年は日本一獲りたいという思いの強い選手が強い。それはどのチームにも負けていない」と言い切る。市船のプライドを持って、市船の強さを示しながら戦うチームが次は4強入りへ。前回4強の帝京長岡を上回って、市船にとって初となる埼スタ準決勝への切符を掴む。
 
(取材・文 吉田太郎)
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