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秋田の中体連から仙台育英へ進学し、3年連続選手権出場。涙のMF豊倉主将は後輩・仲間・育英に「感謝しています」

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MF豊倉博斗主将(左端)が牽引した仙台育英高は3回戦で涙。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.3 選手権3回戦 仙台育英高 0-3 市立船橋高 フクアリ]

「自分たちは去年の先輩方の記録を超えるというふうに一年間やってきて……その目標を達成できなくて不甲斐なく思います。個人としては1年生、2年生と選手権に出てきて、もっと自分を高めないといけないと思って自主練や筋トレをたくさんやってきたけれど、その努力は自分が満足していただけで、本当に全国で通用するかと言われたら全然通用しなくて、もっと…もっともっと高い目標を持って努力すれば良かったなと今凄く思います」

 涙を拭いながらリモート会見を始めた仙台育英高MF豊倉博斗主将(3年)は、涙が流れないように何度も上を見上げて堪えながら言葉を絞り出した。豊倉は1年時から伝統校で先発を務めてきたサイドアタッカー。1年時は選手権1勝、2年時には同8強を経験。主将として臨むラストイヤーは8強超えを目指して選手権に臨んでいた。

 初戦はU-16日本代表候補に選出されたMF島野怜(2年)のハットトリックの活躍によって3-0で快勝。この日も前線からのプレッシングや前に強いDF陣が市立船橋高の攻撃をよく跳ね返したことによって、前半は0-0で折り返した。だが後半、セットプレーでの失点を皮切りに3失点。目標には手が届かなった。

 豊倉は「自分たちが全国大会で通用するようにハイプレスやサイド攻撃を磨いてきて、2回戦から通じて良い形でボールを奪えたり、サイド攻撃で決定的な場面を作れたのは自分たちとしてやりたいことができたけれど、それ以上にできないことが多かった」と首を振る。

 秋田県の仁賀保中から「(最初は)秋田の進学校に入ろうと思ったんですけれども、サッカーで選手権とかも出てみたかったですし、その夢を捨てきれなかったので、サッカーと勉強の両立ができるところに行きたくてここに来ました」と語っていた豊倉。特進クラスで学業も頑張りながら、サッカーで夢を叶え、3年連続で選手権に出場した。

「もっともっと高い目標を持って努力すれば良かった」と悔し涙のラストゲーム。それでも「(秋田の中体連から伝統校の)育英に来るのは凄く挑戦だったんですけれども、県外だったりJユースやクラブユースなど色々な選手が集まって来る中で、自分としては本当にやれるのか、凄く心配な部分もあったんですけれど、仲間に恵まれたじゃないですけれど、自分が3年間努力して来れたのはみんなが全国大会に行くとか、全国大会で活躍するという思いを持って、自主練とか周りが積極的にやっていたから。『自分もやらなきゃ』『もっとやろう』と思えた環境、そういう環境を整えてくれた後輩であったり、仲間もそうですし、育英には感謝しています」と仙台育英での3年間に感謝していた。

 8強超えは1年時から全国を経験している佐藤やFW佐藤遼(2年)、MF明石海月(2年)らに託す。城福敬監督は「市船さんと台頭に戦うには勝負どころできっちりとできるかどうか」と語っていた。そして、豊倉は「今の努力に満足しないで、もっと高い目標を持って努力して欲しい」とエール。1、2年生たちはこの日、名門相手に課題となったことを見つめ直し、改善して来年に敗戦の悔しさ、辛さを必ず晴らす。
 
(取材・文 吉田太郎)
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