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「最弱の代やと言われた」富山一が高い組織力発揮、爪痕残し8強敗退

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富山一高はベスト8敗退に涙(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.5 高校選手権準々決勝 矢板中央2-0富山一 駒沢]

 優勝した13年度以来のベスト4進出は叶わなかった。例年に比べて個の力は劣っても、高い組織力でゲームプランを遂行した富山一高(富山)はベスト8という堂々の成績を残して大会を去った。主将のDF孝井捺希(3年)は「矢板中央のカウンターの芽の潰し方、堅守のどこを突くかを意識して調整した。昨日やった形を最後まで出すことができなかった」と悔しさをにじませた。

 前半のチャンス逸が最後まで響いた。堅守速攻を持ち味とし、スタイルの近い矢板中央高(栃木)との対決。前半は富山一が主導権を握り、得意のセットプレーを軸に圧力をかけたが、ゴールをこじ開けられなかった。逆に、後半9分に速攻から先制点を許すと、高さと迫力で上回る相手のセットプレーから追加点を献上する形となり、反撃は及ばなかった。

 この試合でも水際のクリアで窮地を救った孝井主将は緻密な守備戦術を統率し、チームをけん引した。15年度以来のベスト8という躍進について、大塚一朗監督は「例年、まとまり具合が成績に繋がると思っていて、今年は孝井キャプテンを中心にまとまりがあったのが要因だと思う」と指摘。インターハイが中止になるなどコロナ禍の難しいシーズンを送ったが、集大成となる選手権でしっかりと爪痕を残した。

「自分たちが入学してから、全国の強豪が集まる遠征やルーキーリーグ北信越に参加してもまったく勝てなかった。3年生になったときは『この代は最弱の代や』と言われて、全国に出られるかも危ういと言われた。そういう危機感から始まったけど、こうやって実際に全国の舞台に立って、一人ひとりが考えて、チームために頑張ることができた」(孝井主将)

 チームの成長を振り返り、「自分たちは個人の力がなくて、チームワークでベスト8まで来れた」と語った孝井主将は、日本文理大附高(大分)戦でゴールを挙げたMF中川晟ら来年以降を託す後輩たちに、「今日みたいな悔しさを味わった2年生が来年みんなを引っ張ってくれると信じて、これからトミイチを応援していきたい」とエールを送った。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2020

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