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特別な実績なく進学決定は“多分、一番遅い”MF石川隼大、山梨学院の2年生レギュラーとして選手権V

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2年生レギュラーとして山梨学院高の優勝に貢献したMF石川隼大。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.11 選手権決勝 山梨学院高 2-2(PK4-2)青森山田高 埼玉]

“ラスト1枠”で入学したというMFが、2年生レギュラーとして選手権優勝に貢献した。山梨学院高MF石川隼大(2年)は負傷欠場した3回戦を除く5試合で先発出場。青森山田高との決勝も特長である運動量を駆使して奮闘した。

 決勝は相手に押し込まれる時間が続いた。MF松木玖生(2年)、MF安斎颯馬(3年)、 MF宇野禅斗(2年)と相手のキーマンが並ぶ中盤中央の戦いで苦戦したことは否めない。それでも、山梨学院の村松征二郎コーチが「2年生ボランチの2人は堅実。石川は(持久力測定の)Yo-Yoテストでナンバー1なんです」と説明していたように、石川とMF谷口航大(2年)のダブルボランチの堅実な動き、運動量はチームにとって大きかった。

 石川は「(勝ち上がって)レベル高くなるに連れて難しかったんですけれども、(連続して動いて)自分が相手のパスコースの間にしっかりと立つというのが結構できたんじゃないかと思っていて、そこは(長谷川大)監督にも言われていたので仕事を果たせたと思っています」と頷く。

 守備面だけでなく、攻撃面でも味方のパスコースに顔を出してボールに係わり続ける動きが特長。準決勝ではFW久保壮輝(3年)のシュートのこぼれ球に思い切ったスプリントで詰め、開始21秒での先制点を挙げる大仕事もしてのけた。「自分の得点はああいうゴールが多くて、お父さんにこぼれ球を『常に狙え』と小さい頃からずっと言われていて、そのお陰で決められたと思います」と感謝する。

 幼稚園生の頃から選手権を見続け、決勝の会場が地元の埼玉スタジアム2002になってからは毎年のように足を運んでいたという。準決勝はそのピッチでゴールを決め、決勝では優勝を勝ち取った。「毎年見に行っていたんで、まさか自分が立つとは思っていなかったです」。このピッチに立てたのは自分の力だけではなかった。

 石川は埼玉の街クラブ、GRANDE FC出身だ。中学3年時の夏に日本クラブユース選手権(U-15)大会に出場し、ベスト16入りしているが、石川は全て途中出場。個人として目立つことができず、全国大会と時期の重なったセレクションや練習会に参加することもできなかった。

「オファーが来たとかなくて、行くところがなくなっていた」と石川。それでも、「強豪に行きたいと言っていたら、(GRANDE FCの坂口照幸)監督が山梨学院に連絡してくれて、たまたま(推薦の)ラスト1枠が空いていて。(秋に)練習に行かせてもらって受かりました。決まったのは多分、学院で一番遅いです。(評価されて入学した同期を)見返してやろうと思っていた」。そのMFが情熱を持って努力を続け、2年生で先発を奪取。全国準決勝で先制ゴールを決め、決勝でも守備で貢献するなど日本一に貢献した。

 石川は「来て良かったです」。決勝は1-2の後半25分で交代し、最後までピッチに立つことができなかったが、「自分にとって選手権は試合やっていくに連れて凄く成長したと思います。(決勝は)3年生の格好良いところ、意地というか、良いところを間近で見れたんで来年、4つめの星(日本一)を獲りに行きたい」と誓った。

 まずは怪我を治して来季へ。「来年の目標は、チームとしては全国優勝が目標で、個人としては、自分優秀選手に選ばれなくて相方の谷口が選ばれていて凄く悔しいので、来年絶対2人でなれるようにしたいですね」と意気込んだ。来年は、主軸として全国連覇に貢献し、個人としての評価も勝ち取る。


(取材・文 吉田太郎)

(※山梨学院高の協力により、リモート取材をさせて頂いています)
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