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ゲキサカ読者が選ぶ選手権MVPは山梨学院GK熊倉匠!「4年後必ずプロになるので、応援よろしくお願いします!」

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「GEKISAKA AWARD 2020 WINTER 高校生部門」に選出された山梨学院高GK熊倉匠

 ゲキサカ読者が選ぶ第99回全国高校サッカー選手権のMVP「GEKISAKA AWARD 2020 WINTER 高校生部門」に山梨学院高(山梨)GK熊倉匠(3年)が選ばれた。

 熊倉は、選手権で11年ぶりとなる全国制覇を果たした山梨学院の守護神として君臨。本人がこだわる安定感、そして勝負を左右するようなシーンでのビッグセーブでチームを支え続けた。特にPK戦では抜群の勝負強さを発揮。3回戦、準決勝で勝利の立て役者となると、青森山田高との決勝でもFC東京U-15深川時代のチームメートである選手権得点王MF安斎颯馬(3年)のシュートを止め、チームを日本一へ導いた。

 今回の企画は大会期間中に『ゲキサカアプリ』を使って実施。最も多くのクラップ(拍手=投票)を集めた選手を表彰するもので、熊倉にはゲキサカオリジナルトロフィーが授与された。

 熊倉は選手権で優秀選手に選出され、日本高校選抜として活動中。将来の目標に日本代表としてワールドカップに出場することを挙げた熊倉にMVPの感想や選手権でのプレー、また山梨学院の3年間、そして今後について聞いた。

―MVPの感想を教えて下さい。
「選んで頂けるということはすごく嬉しいことです。今大会はシュートを止める回数は多かったと思うんですけれども、個人的には少し納得の行くプレーではなかったなと思っていて、失点のシーンも『正直、止められたな』とかあったので、自分の中では納得はしていなかったんですけれども、皆さんに選んで頂けたのは嬉しいです」

―専門家ではなく、一般のサッカーファンの方々からの評価も得た。
「(一般のサッカーファンから)すごいと思ってもらえることは、自分も嬉しいです」

―自分のパファーマンスを振り返って。
「今まで練習してきた反応の部分は活かせていたと思うんですけれども、キャッチのところで青森山田戦は自分の弾くところが悪くて失点してしまったり、もっともっとポジショニング一つで止められたシュートがあるんじゃないかと思っているので、納得はしていないです」

―一方で、PK戦になったら勝つという雰囲気があった。
「PKは負ける気がしないというか、自信があったので、今大会で示せたところじゃないかなと思います」

―日本一のGKになると選手権に臨んで、それを成し遂げた。
「山梨学院に来る前に日本一のGKになると決めてここに入ってきて、それを3年目で達成できたということは、本当に自分の取り組んできたことが認められたんじゃないかと素直に嬉しく思います」

―こだわってきた安定感。
「正直、どのGKよりもあったんじゃないかなとは自分の中でもそこは評価できているところで、どんなきついシーンでもチームを立て直すというところはできたんじゃないかなと思います」

―決勝戦を振り返って。
「無敗で来た青森山田を決勝で倒せたことはすごく嬉しいことで、本当に試合内容的にも勝ったとは言えないですけれども、それでも自分たちの方が一つのチームとして全員で戦えたので、そこが本当に今回の勝利に繋がった要因なんじゃないかと思います」

―相手の強みのセットプレーは熊倉君が良く封じていた。
「セットプレーとかハイボールは自分の強みなので、そのところは負けたくないなと思っていて、そこが試合でも表現できたのは良かったと思います」

―PK戦は「来い、来い」と。
「PK戦早く来ないかなと。でも、こんな楽しい試合がもう終わっちゃんうんだというのもあって、それでもPKの時は自分の中でもワクワクしていたし、楽しみだなと思っていました」

―注目されていた親友対決、安斎君のシュートを止めた。
「試合の中で絶対に決められないと思っていたんですけれども、決められてしまって、少し自分の中で悔しかったので、PKをアイツが蹴ると決まって、それを止めてやろうと決めてゴールマウスに立って、実際に止められたのですごく良かったんじゃないかと思います」

―止めたシーンは鮮明に覚えているのでは?
「結構印象的で、本当に自分の中で忘れられないシーンなんじゃないかと思います」

―彼のどのようなところを見ていた?
「最後は身体の向きを見て。一回助走に入った時に止まって、最後は自分のことをずっと見てきていたんですけれども、身体が結構正直でこっち(自身の左側)に蹴るんじゃないかなと。その方向に蹴ったのでこっちだと思って反応しました。そこは自分の日頃やってきた練習の成果が出たんじゃないかと思います」

―PKでの勝負強さはどこから来ている?
「一つはみんなの力を表現したいと思っていて、自分の力だけではここまで来れなかったし、色々な人の応援とか、仲間の支えがあったから今の自分があったと思うし、今回の勝因になったんじゃないかと思います」

―FC東京U-15深川時代の悔しさも原動力に。
「自分の頑張ろうと思える原動力になったんじゃないかと思っています。自分の部屋には3年前の(高円宮杯の)銀メダルをずっと飾っていて、その悔しさはどんなに辛い時も絶対に忘れちゃいけないし、高校で絶対にリベンジすると思ってきてそれで飾って、一日足りとも絶対に忘れなかったし、それが今頑張れる原動力になったんじゃないかと思っています」

―この3年間でキツかった時期は?
「新チームが始まってすぐにコロナウイルスで練習できないという時期は本当にシンドくて……。何がシンドいかというと、練習できなかったことが一番シンドくて、3年目になって、新チームが始まって、『よし、ここから』という時にそういう状況になってしまったので、その時期が苦しかったなと思います」

―そこで挫けずに頑張ったからこその日本一。
「まずサッカーができなかったのでミーティングを増やして、よりチームを一つにすることを心がけて、サッカーで一つになることはできるんですけれども、違うところで一つになるのはすごく難しいことだと自分の中で思っていたので、(ピッチ外からまとまりを高めるために)サッカーをできない中でも全員で集まってミーティングすることとかは意識していました」

―人間的にも成長できた。
「ここに入ってきて、人間性というところは大分大きくなったんじゃないかなと思います」

―以前は大きくなかった?
「大分、小さかったです。全員のことを考えるということができなくて、自分が、自分がとなってしまうことが多かったです。そういうところに関しては、キャプテンをやらせてもらって、全員の気持ちなどを考えたり、その上で話すことを考えたりすることは、ここに来て学ばせてもらったなと思います」

―予選を通して選手権のベストゲームは?
「(全国2回戦の)鹿島学園戦じゃないかと思います。やっぱり練習から反応のところを結構やってきて、そういったところがあのゲームでは出たんじゃないかと思っています。1回戦の怪我で出れなくなってしまった選手(板倉)がいて難しい試合だったんですけれども、チーム全員でアイツのためにやれたので、自分の中ではあのゲームがベストゲームだったんじゃないかと思います」

―ベストセーブは?
「(同じ鹿島学園戦でシュートがDFに当たって)コースが変わって最後の最後で手を伸ばして止めたシーンがあったんですけれども、それが一番自分の中では良いセーブだったんじゃないかと思います」

―決勝から1か月。現在の反響は?
「色々な方から『写真撮って下さい』とか、『応援していました』というメッセージを頂いて、自分たちは優勝したんだなと改めて気付かされたし、色々な方々が応援して下さったんだなと思いました」

―有名人に。
「そんな感じですけれども、良いのか悪いのか分からないという状況です」

―落ち着かない感じがある?
「自分の中ではそんな感じはなくて、良い表現か分からないですけれども自分たちは日本一になっただけというか、目標・夢はもっともっと高いレベルにあるので、本当にまだ日本一という通過点を通り過ぎただけと自分の中では思っているので、特に自分はフワフワしている訳ではないかなと思っています」

―ご家族も喜んでいると思うが?
「(無観客試合のため現地で)決勝を見れなかったというのは悲しいことだったんですけれども、優勝してすぐに『優勝したぞ』って電話をして。3年前に約束して3年後に優勝できたことは本当に親の力だと思って、『ありがとう』と伝えました」

―どんな反応だった?
「泣いて、すごく嬉しがってくれました」

―この後、高校選抜としての活動が始まる。
「まず、自分の目標であるプロになるという目標に一つ近づけるところにいるので、自分の出せる力を全部出して、全力でアピールできたら良いんじゃないかと思っています」

―デンチャレではプロ内定選手のシュートも止めないといけない。
「緊張よりもワクワクの方が大きくて、そういう選手のシュートは本当に貴重だと思うし、そこでアピールできればプロへの道も必然的に開けてくると思うので、本当にここで、自分、熊倉匠というGKをアピールできたら良いんじゃないかと思います」

―山梨学院の仲間の存在については?
「自分が辛い時も常に側にいてくれたし、全員でバカしたし、良い仲間だなと思っています」

―一丸となったチームをキャプテンとしてどう感じていた?
「理不尽な理由でキレたり自分はあったんですけれども、それでも文句言わずに付いてきてくれて本当にアイツらには感謝しているし、アイツらじゃなかったら日本一になれていないし、『感謝』の一言だと思います」

―それは彼らには伝えた?
「いえ、伝えていないです。恥ずかしいんでナイショで行こうかなと思います」

―特に誰と仲良かった?
「誰かというよりは全員と仲良くて、優しい人が多かったので、全員と仲良くさせてもらいました」

―後輩たちへのメッセージを。
「日本一を取って色々な重圧があると思うんですけれども、アイツらにはそれを力に変えられるくらいのメンタリティーじゃないですけれども、そういうものを身に付けてもらって、今年以上の結果、それは連覇だと思うので、それを成し遂げてくれたら良いんじゃないかなと思います」

―今後どのような目標を。
「日本代表になって、ワールドカップに出るということが自分の中の夢で、まずそれに向けてプロサッカー選手になる。大学4年間で自分の実力をもっともっと磨いて、人間性もそうですけれども、もっともっと大きな存在になって、それでプロになって、活躍できたら良いんじゃないかと考えています」

―見て欲しいところ。
「自分の強みはシュートストップというところで、シュート打っても入らないというところが自分の強みだと思っているので、そういった強みを今後もっともっと伸ばして行けたら良いんじゃないかと思いますし、そういうところを見て欲しいなと思います」

―ゲキサカ読者へのメッセージをお願いします。
「本当に今回は投票ありがとうございます。まだまだ自分の実力は無いですけれども、もっともっと練習して4年後必ずプロになるので、応援よろしくお願いします!」


(取材・文 吉田太郎)
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