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選手権予選では16年度決勝以来のライバル撃破!鵬翔が伝統の堅守速攻で5年ぶりの選手権出場に王手!

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鵬翔高はライバルの日章学園高を3-0で撃破!

[11.3 選手権宮崎県予選準決勝 日章学園高 0-3 鵬翔高 ひなた宮崎県総合運動公園サッカー場]

 身体を張った守備で相手に得点を許さない。攻めても速攻を仕掛けてエースが仕留める。「鵬翔は守備の堅さと速攻が武器で、最後はエースの13番が決めるスタイル」(DF新竹優生・3年)。伝統の堅守速攻がライバルとの大一番で冴え渡った。

 3日、第100回全国高校サッカー選手権宮崎県予選の準決勝が行われ、鵬翔高日章学園高に3-0で勝利。6日の決勝で宮崎日大高と対戦することが決まった。

 相手は全国中学校サッカー大会で日本一となり、今夏のインターハイに出場している日章学園。FW木脇蓮苑(3年)、MF葭岡遥来(3年)など1年次から主軸を務めてきた選手も多い。攻守にタレントを揃える難敵に対し、鵬翔は組織で対抗。5-4-1で守備ブロックを作り、少ない手数で攻撃を仕掛けていく。

 序盤はセットプレーから決定機を作られるシーンもあったが、中盤以降は出足の鋭い守備で自由にボールを持たせない。とりわけ、素晴らしかったのが、DF岩田直人(3年)、DF末永英誠(3年)、新竹のCBトリオだ。木脇とMF藤本優希(3年)の日章学園2トップに素早く寄せ、良い状態でボールを持たせない。空中戦でも先に反応し、攻撃の起点を作らせなかった。

 中盤もセカンドボールに対する反応が良く、MF宮田理央(3年)とMF吉川未竜(3年)のボランチコンビがこぼれ球を回収。マイボールにすると、素早く前線にパスを付けた。攻撃陣もチームのエースナンバーでもある13番を背負うFW佐藤颯之介(3年)を軸に仕掛け、効率よくフィニッシュに持ち込む。攻守で狙い通りのサッカーを展開すると、前半26分にスコアが動く。左サイドで宮田のパスを受けた佐藤が中にカットイン。そのまま右足を振り抜き、待望の先制点を奪った。

 以降も粘り強く戦い、その集中力は後半に入っても途切れない。木脇や葭岡など、怪我明けの選手を多く抱えていた日章学園の足が止まると、前半以上にロングカウンターが威力を発揮する。「後半に日章学園の足が止まるというのは常に話していた」と語る佐藤だけではなく、後半途中からサイドハーフに入ったMF近藤逸月(3年)、MF平元亮(3年)も、スピードを生かした仕掛けで相手を翻弄した。

 残り5分を切ると、ゴール前でシュートを放たれる場面が増える。しかし、GK松山隆成(3年)を中心に粘り強く守り、相手に得点を与えない。逆にその隙を突き、カウンターで2点目を狙いに行く。すると、後半37分に平元が加点。アディショナルタイムにも近藤がネットを揺らし、勝負を決めた。

 狙い通りの堅守速攻で完勝した鵬翔。「今年の3年生は1年生の頃から試合に出ているけど、下級生の時から悔しい想いを味わってきた世代」と上永智宏監督が話す通り、日章学園に何度も苦汁を飲まされてきた。

 2019年度の新人戦決勝で勝利していたが、選手権予選では最後に出場権を獲得した2016年度の決勝以来となる日章学園戦の勝利。選手たちは試合終了のホイッスルを聞くと感情を爆発させた。「3年間ずっと負けていたけど、最後の最後に3点を取っての完封勝利。人生で一番思い出に残る勝利でした」と新竹が振り返れば、応援席の選手たちもグラウンドに雪崩れ込んで喜びを分かち合った。

 今年のチームは県新人戦の代替大会で優勝したものの、夏のインターハイは準決勝で日章学園に0-1で敗戦。急造5バックで挑んだが、完成度が低く、ライバルに敗れた。しかし、チームは結果を受け止め、一から取り組み方を見直す。自分たちの武器を磨き上げ、週に1度行われるフィジカルトレーニングで走力を徹底的に鍛えてきた。その結果、粘り強く戦えるチームに変貌。準決勝の日章学園戦でも走り負けず、最後までタフに戦い切った。

 しかし、喜ぶには早い。まだ決勝が残っている。2016年度の選手権以来となる全国舞台まであと1勝。「日章学園戦がベストゲームかもしれないけど、次の試合をベストゲームにしたい」(松山)。9年前に選手権を制した伝統高・鵬翔はライバル撃破に満足せず、6日の決勝に全力を尽くす。

(取材・文 松尾祐希)
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