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[MOM3641]今治東FW三好憂(3年)_敗れた仲間の分まで…小さな身体で決勝ヘッド!! あの日近づいた「夢の場所」まであと1勝

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今治東中等教育学校のFW三好憂(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 高校選手権愛媛県予選準決勝 八幡浜工高 0-1 今治東中等教育学校 北条球技]

 164cmの小さな身体から繰り出したヘディングシュートが、2年ぶりとなる決勝への切符を手繰り寄せた。

 今治東中等教育学校のFW三好憂(3年)は0-0で迎えた後半32分、左サイドを攻め上がったDF竹内海人(2年)のダイレクトクロスに反応。相手ディフェンスの背中に入ってジャンピングヘッドを繰り出すと、ふわりと浮かせたボールがゴールマウスに吸い込まれた。

「最初はゴロで流れてくると思ったけど、一つ前にも浮かせたクロスがあったので、勢いよく先にジャンプして勝ってやろうと思っていた」。巧みなポジショニングと駆け引きが実った一撃。「最後はほぼ見えてなかったけど、当てる瞬間までここを狙おうと決めていた」というヘディング技術の高さも光った。

 後半15分にも自陣からのロングフィードで決定機を迎え、同26分にもダイビングヘッドのビッグチャンスがあったが、いずれもゴールには至らず。それでも「ミスは常にあるのでいつも上を向いて笑顔でプラス思考でやろうと思っていた」と下を向かなかったことで、勝利を決めるゴールにつなげた。

「生きてきた中で一番上に来るくらいうれしい」。

 ゴールを決めた直後にはコーナーフラッグ付近で喜びを爆発。すると後半20分過ぎからつりかけていた足はもう限界だった。そのまま立ち上がれず、チームメートのサポートを受けて途中交代。「ずっと片足がつっていたので、いつまで行けるかわからなかったけど、出し切れた」と照れ笑いを浮かべた。

 試合前の出来事もモチベーションとなっていた。

 この日は小学校時代にプレーしていた吉井SSSの指導者も応援に訪れており、「がんばれよ」と激励をもらった。さらに準決勝の第1試合では、吉井SSSと東予東中でチームメートだった済美高の10番MF黒川秀誠が無念の敗退。対戦を心待ちにしていたが、「がんばってくれ。俺らの分も頼むぞ」と後を託されていた。

 なお、現在は愛媛FC U-18に所属し、10月下旬にトップチーム昇格内定が発表されている195cmの長身GK黒川雷平も当時のチームメートだったという。「雷平や秀誠からも3年間ずっと刺激をもらっていた」。決勝進出の喜びの陰で、三好はそれぞれの場で奮闘してきた仲間の存在にも感謝していた。

 もっとも、ここで満足するつもりはない。

 三好にとって全国大会は「夢の場所」。2年前の全国大会出場時はスタンドから応援し、王者となった静岡学園を相手に奮闘する姿を目の当たりにして「今治東の強みはみんなで走るところ。ガン守りではなくて、自分らから勝負して惜しいチャンスをつくっていた。すごいなと思った」と刺激を受けた。

 それと同時に「夢の場所が目の前にあった。絶対に戻ってきてやろうと、いつもみんなでその気持ちを持って練習していた」とその後の2年間の活力にもなった。優勝をかけて戦う相手は大量得点に乗る勢いに乗る帝京五。「フィジカルで勝つのは難しいと思うけど、駆け引きやみんなのために走るところで頑張ってどんどん勝負したい」と“今治東のサッカー”で頂点まで駆け上がるつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
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