beacon

「このまま行ける」のわずかな、わずかな隙。三浦学苑は鮮やか逆転も後半ラストプレーで追いつかれ、延長戦で涙:神奈川

このエントリーをはてなブックマークに追加

三浦学苑高は後半15分、FW武田大夢のゴールで同点。さらに逆転にも成功したが……

[11.6 選手権神奈川県予選準決勝 三浦学苑高 2-3(延長)相洋高 ニッパ球]

「選手たちは良く頑張ってくれたと思うんですけれども、最後の最後のところで、隙を与えてしまったところが非常に悔しいです」。三浦学苑高の枝村隼人監督は絞り出すように言葉を繋いだ。「逆転するところまでは非常に良かった。でも、勝負強さで足りない部分がありました」。

 三浦学苑は0-1の後半に流れを自分たちへ傾けた。MF明石梓希(3年)をはじめ、各選手が運動量で勝り、正確なパス交換。MF比嘉虎頼(3年)やFW福田大我(3年)、FW武田大夢(2年)の仕掛けもアクセントに相洋高ゴールを脅かした。

 そして後半15分、右SB甲斐健太郎(3年)がボールへ気持ちを十分に込めてから右FKを蹴り込む。これをファーサイドの武田が1タッチで合わせて同点。さらに27分には、MF中村空羅(3年)の鋭いパスから比嘉がカットインシュートを決めて逆転した。

 この後、試合を通して局面での鋭い動きと技術力を見せていた明石がセカンドボールを回収し、CB佐藤匠真(3年)が素晴らしいカバーリングを見せるなど、各選手がハードワークを続けてリードを守る。

 だが、後半ラストプレーで失点。同点に追いつかれると、延長前半にも一瞬の隙を突かれる形で再び失点した。CB鈴木海夏人(3年)は「このまま行けると、勝てると気が緩んだところがあったと思いました。流れを持って行かれて、情けない試合でした」と唇を噛んだ。

 三浦学苑は今年、鈴木、明石、佐藤の主将3人制を導入。この日、キャプテンマークを巻いた鈴木は「(自分は)キャプテンらしいことはあまりできない。チームでボール最初に出したり、先に行動することを意識して、それにみんな付いて来てくれたので、やりやすかったです」と仲間たちに感謝する。今大会では一体感も武器に18年度以来となる4強入りを果たし、この日も特に後半は勝者にも勝る内容の戦い。だが、選手権予選初優勝には届かなかった。

 鈴木は後輩へ向けて、「自分たち(3年生)の良いところも悪いところも見ていると思う。良いところを続けてもらって、次の世代にしかない良いところを磨いて欲しいと思います」と期待。1、2年生たちは“ラストワンプレーまで集中する”という教訓も胸に来年、選手権初出場に再挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2021
▶高校サッカー選手権 地区大会決勝ライブ&アーカイブ配信はこちら

TOP