beacon

[MOM3671]矢板中央FW藤野和哉(3年)_“スペイン挑戦”前に覚醒…研ぎ澄まされた嗅覚で新エースが決勝弾

このエントリーをはてなブックマークに追加

決勝ゴールを挙げた矢板中央高FW藤野和哉(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.13 高校選手権栃木県予選決勝 矢板中央1-0佐野日大 栃木グ]

 覚醒中の“新エース”が止まらない。矢板中央高FW藤野和哉(3年=ジェフユナイテッド千葉U-15出身)が終了間際に劇的な決勝点。4試合連発となる大会6点目を挙げ、栃木決勝で輝きを放った。チームに全国切符をもたらし、「選手権は中学時代から夢だった。夢の舞台に立てるのでホッとした気持ちがある」と喜びをにじませた。

堅守速攻のスタイルを掲げる名門対決は拮抗した展開となり、スコアレスのまま試合終盤に差し掛かった。延長戦も見えてきた時間帯。ヒーローの座を射止めたのは、栃木予選で絶好調の藤野だった。

 後半38分、MF田邉海斗のクロスに反応してヘディングシュート。これは相手DFに跳ね返され、続くFW片岡駿太のシュートも相手GKに防がれたが、混戦の中で粘った藤野は「味方を信じて飛び込んだ」。今度は左足で蹴り込み、待望の先制ゴールを奪った。

「絶対に決めてやろうと思っていた」。立ち上がりにクロスバー直撃のシュートを打てば、スピードに乗ったドリブルからフィニッシュに持ち込むなど、攻撃を牽引した。両チーム最多となる5本のシュートを記録。粘り強くゴールを目指し、チャンスを仕留めた。高橋健二監督は「サッカーに懸ける思いが相当強い。意識の高さがサッカーにつながっている」と藤野の姿勢を称賛。「得点感覚、シュートは非凡なものがある。思い切りの良い勝負ができる。今、うちのエースですね」と成長ぶりに目を細めた。

 ここにきて、積み重ねてきた取り組みが結実している。トップチームに上がった際「走れない」という課題に向き合い、1年生の秋に身体づくりを決意。寮を出て、東京から来てもらった母親にサポートしてもらい、食事面も見直した。「イチから鍛え直して身体をつくった。コンディションを整えて、メンタルも上げてきました」。

 持ち味だったテクニックに加え、矢板中央の攻撃陣に求められるハードワーク、球際の強度を上げ、守備力が向上。インターハイ後に主戦場がFWに変わり、得点力を花開かせた。予選4試合で6ゴールと大暴れ。嗅覚は研ぎ澄まされている。

 好調を維持して、次は全国の舞台でゴールを目指す。「選手権で活躍して、高校サッカーをやり切ってからスペインに渡りたい」――。藤野は大学に進学せず、スペイン挑戦という進路を決めている。選手権の舞台で活躍を遂げ、スペインへ渡る青写真を描く。

 大舞台のプレッシャーには強く、「緊張よりもモチベーションが上がる」というメンタリティ。「自分らしさを見せてゴールを決めたい。勝利に結びつくようなプレーをしたい」。昨年度の選手権はメンバー入りも叶わなかったが、その1年後、エースとして期待されるほど立ち位置は変わった。選手権100回大会で初優勝を目指す矢板中央の得点源として、存在価値を証明するはずだ。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2021
▶高校サッカー選手権 地区大会決勝ライブ&アーカイブ配信はこちら

TOP