beacon

[MOM3667] 綾羽MF小向貴也(3年)_1G1A!指揮官、チームメートに背中押され、「覚悟を決めた」後半に結果

このエントリーをはてなブックマークに追加

綾羽高MF小向貴也が1ゴール1アシストの活躍

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.6 選手権滋賀県予選準決勝 立命館守山高 2-3 綾羽高]

 先制したものの前半中に逆転される苦しい展開となった綾羽高。その前半、「自分が足を引っ張った」と振り返ったのはMF小向貴也(3年=Fosta Football Ciub出身)。左ウイングバックに入っていた小向だが、緊張から前でボールを受けてミスすることを恐れてしまっていたという。本来は積極的に攻撃を仕掛けるべきポジションなのにも関わらず、「低い位置でボールを受けてしまっていた。前に行かなければ点も取れない。前半の攻撃を停滞させていたのは自分だ」と、前半の自らのプレーを真摯に省みていた。

 その臆病になっていた小向を叱咤したのは、キャプテンのMF川村洸太郎(3年)。小向は、ハーフタイムに川村から「お前はもっとやれる」と声をかけてもらったという。そこで小向は「覚悟を決めた」。

 後半に入ると見違えるほど前線に上がってくるようになり、後半が開始して間もない4分には小向が上げたクロスに、小向に覚悟を決めさせた川村が頭を合わせ、同点に。さらに16分、小向が蹴ったCKは手たちの密集したゴール前にバウンドし、そのままゴールに吸い込まれ、勝ち越した。「密集したところだと何か事故が起きるかも、とは思っていたので、狙い通り」だったが、足を引っ張っていた責任を重く受け止めていただけに、ゴール後は喜びと安堵が入り混じり「少し涙は出てしまった」。

 岸本幸二監督も「前半、一番良くなかったのが小向」だったと思っていたが、ハーフタイムでの交代はさせなかった。「良くないとは言え、彼が持つ力は何も発揮していない状態だった。信頼を持ってピッチに送り出した選手なので、彼の成長のことを考えても変えるべきではないと思った」という。「元々能力は高いが、純粋なだけに緊張もあったと思う。選手たちから小向に叱咤激励があったので、吹っ切れてやってくれる」と信じてくれた岸本監督に、チームメイトに背中を押された小向はきちんと結果で応えることができた。

 去年はFWの位置にいた小向だが、ポジションがウイングバックになった今年は、両足で正確なクロスを上げられるよう、日々トレーニングを積み重ねてきた。小向のフィジカルの強さと縦への推進力、そしてこの1年で努力し、磨き上げてきた両足での正確なクロスが準決勝での勝利にも繋がった。

 80分で、自分1人のプレーが試合に良くも悪くも大きく影響することを学んだ小向。もう迷いはない。決勝戦では「圧倒的な勝利を挙げられるよう、これまでやってきた綾羽のサッカーを全員で貫く」(小向)。

(取材・文 前田カオリ)
●【特設】高校選手権2021
▶高校サッカー選手権 地区大会決勝ライブ&アーカイブ配信はこちら

TOP