[11.13 高校選手権栃木県予選決勝 矢板中央1-0佐野日大 栃木グ]

　矢板中央高のサイドバックを務めるDF小出勇翔(3年=鹿島アントラーズJrユース出身)は栃木予選を通して、攻守両面に渡る多彩な活躍を見せた。

　昨年度もレギュラーとして選手権4強入りに貢献したが、準決勝で青森山田高に0-5で大敗。「去年選手権で悔しい思いをして今年一年やってきて、やっとスタートラインに立つことができた」。試合終了のホイッスルが吹かれると、チームメイトと抱き合って5連覇を喜んだ。

　矢板中央の“堅守”を統率する元CBは、球際の強さを生かした抜群の対人守備が魅力だ。鋭い寄せでボールを奪取すれば、タイミングよく飛び出して潰し、相手のカウンターを阻止する。サイドの1対1でもスピードで上回れば、スライディングタックルで窮地をしのぐなど、DFラインに安定感をもたらしている。

栃木予選では攻撃面でも、精度の高いフィード、クロスを配給してチャンスを量産し、得点に直結させた。「去年は守備がメインで攻撃に絡む時間は少なかったんですが、今年は攻撃の部分で良さを発揮しようというところで、クロスの練習を増やした。結構自信はついたかなと思います」。右足だけではなく、「去年から練習してきた」という左足からも正確なクロスを供給する。

　小出の見せ場は多岐に渡る。身体能力を生かしたロングスローはチームの武器で、夏のインターハイ初戦大分高戦でもロングスローから3ゴールを演出してみせた。多くの場面で存在感を放つが、自身が見てほしいプレーは「コーナーキックでのヘディング」。170cmと上背はないものの、身体のバネを生かしたヘッドは強烈。昨年度の選手権2回戦徳島市立戦でも、セットプレーから得意の形でゴールを挙げた。

　再び挑む選手権の舞台で、対戦したい相手がいる。山梨学院高で活躍するMF山口宇汰(3年)は鹿島アントラーズJrユース出身の同期。小学生時代も同じチームに所属し、長く一緒にプレーしてきた「親友」だ。「宇汰は今、左サイドハーフをやってるんです。自分が右サイドバックで出たら、マッチアップしたい」。前回大会を制した山梨学院との対戦が実現するのは、準決勝。両校が厳しいブロックを勝ち上がれば、大一番で親友との“再会”が待っている。

(取材・文　佐藤亜希子)

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