beacon

[MOM3684]東山FW藤枝康佑(3年)_先輩エースたちが示してきたものを自分も。10番が決勝戦で決勝ゴール

このエントリーをはてなブックマークに追加

東山高は10番FW藤枝康佑が決勝ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.13 選手権京都府予選決勝 東山高 2-1 京都共栄高 サンガS]

 前半に先制しながら追加点を奪えず、後半に追いつかれる。そんな嫌な流れを吹き飛ばしたのは、この男だった。1-1で迎えた後半33分、ロングスローの二次攻撃からゴール前にクロスが上がると、FW藤枝康佑(3年)は中央で相手DFに競り勝ってヘディングシュートを放つ。「クロスからの得点はいつも狙っている。『絶対に決めるぞ!』と思って中にいたし、いいボールが来た」。チーム最多となる今大会6点目のゴールが、東山高を全国へと導いた。

 今年の京都大会で東山は2トップの一枠をFW北村圭司朗(2年)とFW中野翔真(2年)で併用したが、軸となるのは藤枝だ。福重良一監督も「彼は外せない」と信頼を置く。コンビを組む選手の特徴に応じたプレー選択をできるFWだ。また、この試合でマッチアップした京都共栄のモトハシヨシト(3年)と小幡優登(3年)は大会屈指のCBコンビ。「相手は空中戦が強い。競り勝てなくても、しっかり身体を付けて競り合って、完璧に跳ね返させないことも意識した」と冷静に戦っている。

 試合終盤は右SHへポジションを下げて、中盤やDFラインを助けた。キックオフから前線で攻守に走って疲労はあるが「あいつはどこにいてもチームのために戦ってくれる」(福重監督)という指揮官の言葉どおり、最後まで献身的な姿勢を貫いた。最後は足をつったが、その直後に主審が試合終了のホイッスル。倒れながら、渾身のガッツポーズで歓喜の表情を見せた。

1年生からAチームで出場機会をつかんでおり、今年が最終学年。積み重ねてきた経験値をチームに還元する役目も担っている。2年生が数多くピッチに立つチームにおいて「自分が引っ張る」と共に「(下級生が)気持ちよくプレーできるように」雰囲気を作ることも、キャプテンの木下慶(3年)ら他の3年生と共に意識してきた。

 昨年の京都大会決勝ではコーナーキックから頭で得点を決めるも、チームは全国へ進めなかった。今年も同じ頭でゴールを決め、今回はチームを第100回大会へ導くゴールとなった。本人は背番号10の重みを口にする。「これまで10番を任されながら大事な場面で決められず、チームを勝たせることができなかった」。欧州で活躍する鎌田大地(フランクフルト)やJ1湘南の池田昌生など、それぞれの代を牽引したエースたちがプレーで示してきたものを、この代でも発揮してこその10番という思いがある。「だからゴールを決めたかった」。決勝という大舞台で、見事に実現してみせた。

(取材・文 雨堤俊祐)
●【特設】高校選手権2021
▶高校サッカー選手権 地区大会決勝ライブ&アーカイブ配信はこちら

TOP