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DFリーダーの主将不在、U-17代表GKもアップ中に負傷…緊急事態はねのけた東福岡が初戦突破!! 大津との九州勢対決へ

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FW楢崎海碧(写真右)が決勝ゴール

[12.29 選手権1回戦 秋田商高 0-1 東福岡高 熊谷陸]

 第100回全国高校サッカー選手権は29日、1回戦を各地で行い、2年連続22回目の出場となった東福岡高(福岡)が2大会連続の初戦突破を果たした。全国最多46回目の晴れ舞台に挑んだ秋田商高に苦戦を強いられたが、FW楢崎海碧(3年)の先制ゴールを守り切って1-0で勝利。同じ九州のプレミアリーグ勢の大津高(熊本)と対戦する2回戦に歩みを進めた。

 東福岡は注目の初陣で、DFリーダーのDF段上直樹主将(3年)がコンディションの問題でベンチからも外れ、U-17日本代表候補経験を持つGK須田純弥(2年)もウォーミングアップ時に負傷するという緊急事態が発生。代役守護神にはGK戸成晃大(2年)が急遽抜擢され、伝統の4-3-3ではなく3-4-2-1のシステムで臨んだ。

 すると序盤の主導権を握ったのは秋田商だった。秋田県予選は全国で最も早く決勝戦が行われ、約2か月以上にわたって準備期間があったため、予選ではレギュラーではなかった下級生が次々に台頭。主将のMF中野宏宣(3年)やエースMF近野宙安(3年)のほか、2トップを組んだFW泉海斗(1年)、FW長谷川悠真(1年)ら個性豊かな選手たちが攻撃を担い、細かいパスワークを絡めながらボールを保持していった。

 もっとも、東福岡も簡単には崩されない。中盤まで攻め込まれてもリベロのDF園田桐志(3年)を中心に安定した守備ブロックを形成し、危険な決定機はほとんどなし。ウイングバックのDF浦十藏(2年)、DF辻耕大(3年)を有効に使いながら陣形を上げ、徐々に徐々に試合を支配していった。

 そうして迎えた前半30分、東福岡が左サイドの崩しから先制点を奪った。縦に切り裂いた辻のグラウンダークロスがニアのMF大渕来珠(3年)に入ると、昨季までC大阪U-18でプレーしていたアタッカーは右足一閃。うまくミートできずにボールはゴール前に転がったが、これをうまく収めた楢崎が右足でループ気味に流し込み、秋田商の堅守を破った。

 後半も引き続き膠着モードが続き、大渕のセットプレーでダイナミックに攻める東福岡と、人数をかけた地上戦で勝負をかける秋田商という好対照な構図。秋田商はGK佐藤秀人(3年)のキャッチング、東福岡は浦のシュートブロックでピンチを防ぎ、0-0のまま時間が進んでいった。

 後半20分、秋田商は中野が鋭いドリブル突破でペナルティエリア左を切り裂くも、ラストパスは惜しくも味方に通らず。対する東福岡は同30分、辻のクロスを途中出場のMF篠田純之助(3年)が頭で落とし、これに大渕が飛び込んだが、シュートは大きく枠外。互いに決定機を活かすことができなかった。

 秋田商は終盤、県予選でも先発していたFW川辺瑞輝(2年)、MF米谷海(2年)らがピッチに送り込まれ、ボランチに入っていた中野をトップ下に上げて攻撃姿勢を強化。しかし、思い切って蹴り出したロングボールはことごとくGK戸成に処理されてしまう。そのまま試合はタイムアップ。ともに赤をチームカラーとする名門対決は、東福岡に軍配が上がった。

 もっとも、苦戦を強いられての初陣。勝利した指揮官に笑顔はなかった。2回戦の相手は同じ九州勢で、プレミアリーグWESTでも毎年対戦している大津高。今季は1分1敗と勝利することができなかったライバルだ。

 東福岡の森重潤也監督は「対戦相手も考えなければいけないが、まずは自分たちができなかったこと」にフォーカス。「仕掛けるスピード、守備のアプローチ、判断のアプローチ、プレースピード、まだやれたところがある。選手権という雰囲気の中で硬さがあるのか緊張感があったのか、選手たちと話をしながら修正して次の試合への準備ができれば」と力を込めた。

 また2戦連発を狙う楢崎は「自分たちの代は大津に一度も勝ったことがないので、チャレンジャー精神を持っていく」とライバル視を隠さず。今月5日に行われた2度目の対戦では1-1で引き分けており「いいイメージは掴めた」。負けたら終わりの一発勝負に向けて「持っているものを全て出して、守備でゼロに抑えたら勝てる」と自信をのぞかせた。

(取材・文 竹内達也)

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