beacon

[MOM3727]東福岡GK戸成晃大(2年)_先発GKがアップ中に負傷…「すごく緊張した」代役守護神が完封全国デビュー

このエントリーをはてなブックマークに追加

東福岡高GK戸成晃大(2年=宇部市立厚南中)

[12.29 選手権1回戦 秋田商高 0-1 東福岡高 熊谷陸]

「急遽伝えられてすごく緊張した」。率直な言葉のとおり、東福岡高GK戸成晃大(2年=宇部市立厚南中)の全国デビューは思わぬ形で訪れた。

 試合前のウォーミングアップ、東福岡をまさかのアクシデントが襲った。U-17日本代表候補の選出経験があり、大会屈指のゴールキーパーと目されていたGK須田純弥(2年=小倉南FCジュニアユース)が突如負傷。選手権初戦のピッチに立つことができなくなったのだ。

 そこで白羽の矢が立ったのが戸成だった。トップチームでの公式戦経験は「インターハイ予選で残り10分くらい出たくらい」(戸成)。とはいえチーム内に20人を数えるGKの中、競争を勝ち抜いて大会メンバー入りを果たした精鋭。森重潤也監督の信頼は厚かった。

「須田に劣らず、シュートストップであったり、反応であったり、いいものは持っている。うちの中で競争をずっとしていて、怪我をしていたけど、ようやくこのタイミングで戻ってこられた」(森重監督)

 秋には利き足ではない右膝の疲労骨折が判明し、約2か月にわたって戦線を離脱。それでも「椅子に座って正面キャッチや筋トレをして身体を衰えさせないようにしていた」と努力を重ね、「体幹が強くなって軸がぶれなくなって、キックの質が上がった」と成長につなげてきた。

 また東福岡で過ごした2年では戦術面、メンタル面を高めてきた。「先制点を取られた時に気持ちをどう戻すか。勝っている状況での判断、前に蹴るかどうかの判断が成長した」。細部に及ぶ心構えも進歩の跡。そうした過去も全てぶつけるべく、憧れの舞台に立った。

 立ち上がりから相手がボールを保持する中、守備機会は少ない展開。それでもよく通る声で味方に指示を出し、5バックで固める守備陣を統率する。また後半からは相手がやや長いボールを使ってくると、適度なタイミングでの飛び出しでリスクを回避。最後まで集中力を切らさず、1-0での完封勝利に貢献した。

 試合後、オンライン会見に出席した森重監督は「試合経験が少なかったぶん不安はあったけど、十分良くやってくれた」とスクランブル起用に応えた代役GKを称えた。

 また戸成は「すごく緊張している時にチームメートが声をかけてくれて、戸成ならできると言ってくれた」と支えてくれた仲間に感謝しつつ、「無失点に抑えられたことは良かったが、課題なども見つかった。良い試合になった」と充実感をにじませた。

(取材・文 竹内達也)

●【特設】高校選手権2021
▶高校サッカー選手権 全試合ライブ&ダイジェスト配信はこちら

TOP