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31年ぶり選手権、食らいついた西原 玉城主将「素晴らしい光景が待っている」後輩に悲願託す

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初戦敗退も奮闘した西原(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[12.29 選手権1回戦 桐光学園高1-0西原高 等々力]

 31年ぶりに選手権出場を果たした西原高(沖縄)は初戦で涙を飲んだ。桐光学園高(神奈川)のセットプレー1発に沈み、同校初の全国1勝は挙げられなかった。試合後、玉城真哉監督は「桐光さんは強かった。結果的には負けたが、うちの選手はこれまでで一番、粘り強い試合をしてくれた」と奮闘したチームを称えた。

 西原はアグレッシブな守備でリズムをつくり、連動したハイプレスでボールを奪取、素早い切り替えで攻撃につなげるスタイル。だが、攻守に強度が高い桐光学園に圧倒され、カウンターに転じる機会は限られた。「奪ってもシュートまでいかせてもらえなかった」と玉城監督。1トップのFW座覇駿(3年)が背後を突く場面はあったが、攻撃は単発だった。

 それでも、全国の舞台で粘り強く、ハードワークで強豪に食らいついた。80分間のシュート数は0対13。シュート、クロスと猛攻に晒され続けたが、GK仲村太希(3年)がビッグセーブを連発し、スタジアムをどよめかせた。チームは球際で負けずに激しいプレッシングをかけ、前半は零封。最終ラインはチャレンジ&カバーを徹底し、流れの中ではゴールを許さなかった。

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下で、沖縄県内の部活動は約4か月の休止を強いられた。苦しい状況でも部員100人以上を束ねた右サイドバックのDF玉城俊輔(3年)主将は「31年ぶりに自分たちが歴史を塗り替えて、全国で、この素晴らしいピッチで戦えたことを本当に嬉しく思います。この経験はこれからの人生で生かされると思う」と力を込めた。

 31年ぶりにたどり着いた夢舞台。西原は81、88、90年度に続く初戦敗退となったが、止まっていた歴史を動かし、選手権のピッチで堂々と戦い抜いた。

「1、2年生には自分たちが戦った姿を目に焼き付けてほしい。新チームになったらキツイことの方が多くても、そこを乗り越えたら素晴らしい光景が待ってるということは、この一年で分かった」と玉城主将。ピッチに立った2年生レギュラーDF平良琉葵ら後輩たちに、全国1勝の悲願を託す。

「厳しいトレーニングも全員で頑張って、また来年この場に戻ってきて、後輩たちには自分たちが成し遂げられなかった西原高校の全国初勝利を挙げてほしい」



(取材・文 佐藤亜希子)

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