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秋田商、全国最多46回目の挑戦は初戦で幕…小林監督は“支柱”不在の東福岡を賞賛「さすがでした」

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指揮官に称えられたDF鈴木悠太(3年)

[12.29 選手権1回戦 秋田商高 0-1 東福岡高 熊谷陸]

 全国最多46回目の出場を果たした秋田商高の第100回記念大会は、初戦で幕を閉じた。同じ赤をチームカラーとする東福岡高との名門対決に0-1で敗戦。伝統の粘り強さに加えて、新たに積み上げてきたテクニカルなスタイルで接戦に持ち込んだが、最後は1点の壁に泣いた。

「好成績を残してきた東福岡さんとどういった戦いができるかと言うところで、粘り強く試合を進めていきたいと思っていた。立ち上がりから、われわれらしい守備と攻撃はある程度できたのかなと思う」

 試合後、小林克監督が手応えをもって振り返ったように、主導権を握る時間帯は決して短くはなかった。序盤からセンターバックのDF鈴木悠太(3年)を中心に3バック風に組み立て、右サイドバックのDF高嶋綾斗(3年)が中盤中央に絞りつつ、前後関係に立つMF中野宏宣主将(3年)とMF光田楽生(2年)がつなぎ役を担うビルドアップは効果を発揮。トレンドを取り入れた布陣によって後ろに必要以上に人数をかけないことで、MF近野宙安(3年)ら推進力を持ったアタッカーが高い位置で攻撃に絡んだ。

 だが、東福岡も5-4-1の守備ブロックで危なげなく対応。相手は主将でディフェンスリーダーのDF段上直樹(3年)を欠く中だったが、なかなか最後の局面まで持ち込むことができなかった。指揮官も「精神的な柱のキャプテンがいないというところで、後ろの安定感は多少は落ちることを期待したけど、さすが東福岡さん。一切集中力を切らさず、さすがでした」と称えるしかなかった。

 そうして迎えた前半30分には、迫力のあるサイド攻撃を食らって失点。「上手い抜け出しからいいクロスといいパスからのシュートということで、個の能力の高さを封じるのは1試合通して難しかった」(小林監督)。攻撃でも最後までゴールが遠く、指揮官は「ある程度、落ち着いてボールを動かして、ゲームを組み立てたり崩したりというシーンはある程度作れたが、最終的にゴールを割れなかったのは相手が一枚も二枚も上手だった」と振り返った。

 秋田商はこの日、県予選決勝では先発していなかったFW泉海斗(1年)、FW長谷川悠真(1年)のルーキー2トップなど、「秋田は寒い地方なので2か月くらい前に決勝があり、それからチームみんなでもう一回競争したなかで、最適な組み合わせが生まれた」という下級生を積極的にスタメン起用。次年度以降にも期待が持てる陣容が揃っている。

「このステージまで連れてきたのは3年生を中心としたメンバーが頑張った結果。1〜2年生が思い切ってやれたのも3年生がしっかりと助言し、サポートしてくれたから」。この日で引退となった3年生を労った小林監督は「残り3分の1のエリアでゴールに直結するプレーに仕上げないと、パスを繋いでいくだけになる」と来季に向けた課題を語った。

 また指揮官は最後に、伝統の守備を担ったキーマンについて問われ、鈴木に賞賛の言葉を送った。「鈴木悠太が相手の攻撃をよく読んで、ヘディング、インターセプト、守備の柱としてしっかりと守ってくれた。メンバーを動かしながら守備をする点でもよく指示して守れていた。鈴木悠太が非常に成長してくれた」。目標だった8強に届かなかった鈴木ら先輩たちの思いも背負い、新生・秋田商の戦いがスタートする。

(取材・文 竹内達也)

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