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円陣回転FKで話題の高川学園、「あの時間帯でやろう」勝負所で抜いた伝家の宝刀、今度は“3人2組グルグル”から決勝点!

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円陣回転FKの流れからFW中山桂吾(9番)が決勝点を決めた

[12.31 選手権2回戦 岡山学芸館1-2高川学園 ニッパツ]

 高川学園高(山口)は岡山学芸館高(岡山)に2-1で逆転勝ちし、ベスト4に進出した2007年大会以来となる3回戦に勝ち上がった。新年1月2日に行う次戦では、仙台育英高(宮城)と対戦する。

 29日の一回戦、星稜高(石川)と対戦した高川学園は、前半8分に右サイドで獲得したFKの場面で、5選手が手を繋いで円陣を作り、回転しながら散らばってゴールに向かう戦法を披露し、先制点に繋げていた。

 鮮やかな“円陣回転”FKの動画は瞬く間にツイッターなどSNSで拡散された。『ESPN』など海外大手メディアも取り上げる事態となり、一夜にして「TAKAGAWA GAKUEN」の名前は世界中に広まった。10番MF林晴己(3年)も「凄かった」と反響の大きさに驚きを語る。

 ただ話題が先行したことは、戦いを難しくした。「メディアの方々が取り上げていただいて、今の時代はSNSなどでも広まった。同じことをやりたかったが研究されていると思っていました」。江本孝監督が振り返ったように、高川学園は前半5分、同31分にFKを獲得したが、“回転戦法”は行わず。同33分のCKの場面もキッカーは普通にゴール前に放り込んだ。

 ただこれは、“切り札は勝負どころで使おう”という作戦でもあった。1点ビハインドの後半11分、DF山崎陽大(3年)の左クロスから逆サイドで受けたFW梅田彪翔(2年)のキープ。こぼれ球を林晴が蹴り込んで試合を振り出しに戻すと、同20分、ついに伝家の宝刀を抜く。

 左サイドでFKを獲得した高川学園は、ゴール前の6人が3人2組になって手を繋ぎ、グルグルと回りだす。山崎が左足で蹴り入れるタイミングで解散。ファーに流れたボールを林晴が入れ直すと、中に飛び込んだFW中山桂吾(3年)が頭でねじ込み、逆転弾が決まった。

 林晴は「いつも中で話し合って決めるが、今日は前半は普通に放り込もうと話していた。でも後半のあの時間帯でやろうと思っていました」としてやったり。江本監督も「子供たちが得点できたことは、またさらに成長できた。これからも想像力豊かにやってくれると思う」と目じりを下げた。

 1回戦に続く接戦をものにして、県勢としても高川学園がベスト4に進出した2007年以来、14年ぶりの3回戦進出となった。3回戦の相手は、2年前に2回戦で敗れている仙台育英に決定。江本監督は「全国に出てくるチームは強豪校。どのチームでもいい。チャレンジャーとして必死で戦うだけです」と強調。林晴も「次も絶対に自分が点を取って勝ちたい」と意気込んだ。

(取材・文 児玉幸洋)

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