beacon

強風下でも安定感…“中2からGK挑戦”の大津・佐藤瑠星が東福岡を完封「とてもうれしい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

大津高GK佐藤瑠星(3年=合志市立合志中)

[12.31 選手権2回戦 東福岡高 0-4 大津高 熊谷陸]

 4-0というスコアを見れば攻撃陣の活躍に目が向くが、危なげない結果の裏には守護神の奮闘が欠かせなかった。大津高GK佐藤瑠星(3年=合志市立合志中)。中学2年生で“天職”に出会ったGKは名門東福岡高の攻撃を阻み続け、初の全国選手権で2試合連続のクリーンシートを達成した。

 強風が吹きつける熊谷スポーツ公園陸上競技場。ゴールキーパーにとっては決してありがたい環境ではなく、実際にヒヤリとする瞬間は決して少なくはなかった。チームは前半10分に先制点を奪ったものの、以降は劣勢の時間帯がしばらく継続。クロスからMF中原優心(3年)にシュートを打たれた同20分の場面、MF川原陸登(3年)にミドルレンジから狙われた同36分の場面など、大きなピンチも何度か訪れた。

 しかし、そのたびに大津の守護神が立ちはだかった。中原のシュートはしっかり足を残して対応し、川原のミドルは横っ飛びで力強く阻止。また後半22分にはパワープレー要員として投入されたDF江本千泰(2年)のフリックからDF吉田大晃(2年)のボレーが枠内を襲ったが、横っ飛びしながら腕を力強く動かし、狙いを持ってボールをかき出す質の高いパンチングを見せた。

 その結果、1回戦の中部大一高(○5-0)戦に続いて無失点を達成。佐藤は「プレミアリーグでも選手権でも自分のセーブでチームを勝たせることがあまりなかったので、今年最後の大会で東福岡相手に自分のセーブもあり、チームの活躍もあって勝てたのはとてもうれしい」と喜びを表現した。

 合志中2年生の時、大津OBで元GKの佐藤達朗先生から守護神転向を勧められ、見つけた天職。幼少期からGKでプレーしてきた選手に比べれば経験は浅いが、キャッチングなどの技術は高校年代ではかなりのレベルにある。とくに191cmの長身も活かしたハイボール処理は別格。この日も強風で難しいコンディションだったが、「ハイボールは落下地点に早く入りすぎないようにとか、シュートでポジショニングを下げたりして守るのを意識していた」と難なく対応していた。

 そんな佐藤は選手権を終えると、筑波大に進学してプロへの道を切り開く構えだ。「今のハイボール、シュートストップは自信になっているので、そこは伸ばしつつ、課題のビルドアップを残り少ない期間で改善していって、大学に向けてより安定性を高めていきたい」。冷静に自らの立ち位置を見据える守護神は、この選手権期間中にも着実に成長を続け、チームの勝利に貢献していくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

●【特設】高校選手権2021
▶高校サッカー選手権 全試合ライブ&ダイジェスト配信はこちら

TOP