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「アンリくんが活躍できないように…」「策がハマった」規格外な尚志の“怪物封じ” 関東一が16強

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尚志高DFチェイス・アンリ(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[12.31 選手権2回戦 尚志高0-0 PK5-6関東一 柏の葉]

 関東一高(東京B)は超高校級の“怪物封じ”を徹底した。185cm、78kgの恵まれた体躯、図抜けた身体能力を誇る規格外なU-22日本代表CBチェイス・アンリ(3年)を、可能な限り試合の流れから消す――。攻守に対策を講じた小野貴裕監督はその意図を明かした。

「ゲームでアンリくんが活躍するシーンを減らしたかったんです。セットプレーは仕方がないですが、攻守において彼が目立つとチームの士気が高まるので、なんとか攻守において、できるだけ彼が活躍できないようなシュチュエーションを作りたかった」

 “アンリ封じ”は、相手チームに勢いを与えないという狙いもあった。空中戦で無双するアンリのプレーは、スタジアムの雰囲気を変える。驚異的な跳躍力を生かし、頭一つ抜けたヘディングで跳ね返す度に会場は沸き、攻撃参加すればどよめきが起きた。そのキーマンを封じるために、関東一はミッションを完遂した。

 アンリの中学時代を知るのが、守備陣を統率するDF池田健人主将(3年)だ。「実は中学3年生の5月に街クラブトレセンでチェイス・アンリ選手と一緒にプレーして、競り合いが強いのは分かっていたんですが、想定通りの強さが今回もありました」。池田主将はセットプレー時、アンリのマンマークに付いた。飛び級招集のU-22日本代表でもインパクトを残したライバルの進化を体感し、「空中戦も強いし、下でも体が強かった」と振り返った。

「FKやCK、セットプレーからの失点を無くしたいと思っていたので、マークの付き方もチェイス選手だけマンマークで、それ以外はゾーンにして、前日練習でもやってきた。しっかり出来たことが大きかったと思います」

「片手で飛ばされますし、なるべく先にジャンプしようと思っていたけど、それでも上から叩かれた。本当にもうすごいなという一言ですね」

  関東一は相手のビルドアップ時、アンリにMF林尚樹(3年)をつけて、ロングフィード配球を封鎖。組み立てに参加させず、尚志のリズムを乱そうとした。「元々競り合いは強かったけど、足元の技術が成長していた。ロングボールを封じるために徹底してマンツーマンをやったので、その策がハマったと思います」と池田主将。キーマンを封じたチームは0-0で突入したPK戦に勝利。歴史を塗り替え、16強入りを果たした。2日の3回戦は矢板中央高(栃木)と対戦する。

(取材・文 佐藤亜希子)

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