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[MOM3747]静岡学園MF川谷凪(3年)_「できなかったら高校サッカー人生も終わる」J内定でもポジション争いに危機感…プライド示した2ゴール

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清水内定の静岡学園MF川谷凪が躍動した(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権3回戦 宮崎日大高 0-8 静岡学園高 フクアリ]

 静岡学園高(静岡)のプロ内定カルテットとして、注目を集めていた北九州内定のDF伊東進之輔(3年)、徳島内定のMF玄理吾(3年)、磐田内定のMF古川陽介(3年)、清水内定のMF川谷凪(3年)。1回戦、2回戦とチームが勝ち進む中で、カルテットの中で唯一スタメンから外れていたのが、川谷だった。迎えた3回戦の宮崎日大高(宮崎)戦では、初の先発に名を連ねる。

 スタメンを告げられたのは「グラウンドに到着してすぐ」(川谷)のタイミング。出番が2回戦の20分間に限られ「悔しい」思いを募らせていた中で、起用されるにあたって、川谷は「ここでできなかったら、自分の高校サッカー人生も終わる」というほどの覚悟を決めていたという。試合がはじまると、4-2-3-1の中盤右サイドで、鬱積していたパワーを爆発させた。

 開始からわずか2分には、DF野村海翔(3年)のクロスを右足でダイレクトシュート、クロスバーを叩いて頭を抱えた。「ツイていない日かなと思った」と言うが、次のチャンスを確実にしとめる。宮崎日大を圧倒していた9分、左サイドのMF菊池柊哉(3年)が中央のFW松永颯汰(3年)へ。松永はDFを引きつけつつ、右サイドの川谷へはたくと、背番号11は、角度のない右サイドから右足を一閃。「角度のないところが得意で、角度のないところからでも隅に決める自信がある」と川谷が自信を持つコースからの低い弾道のシュートは、逆サイドのゴールネットに刺さった。

 川口修監督は、川谷を先発で起用した意図を試合後にこう明かす。「体力がありあまっているというのと、欲をうまく利用しながら。彼は試合に飢えていたので、初先発で自分の持ち味を出してもらいたいと思っていました。縦への突破、点に絡むよさは、出ていたのかなと思います」。指揮官の意図したとおりのエネルギーを、プレーに還元した。

 4-0となった前半35分には、2列目左の古川が左サイドからドリブルで仕掛けて、タッチライン際から中央に早くて低いクロスを入れる。ファーサイドで待ち構えていた川谷が左足でダイレクトで合わせた。スコアを7-0とした後半には、単身ドリブルで持ち込んで自身3点目を狙うなど、この試合最多7本のシュートを放ち、80分間ゴールへの強い意識を感じさせた。

 同じポジションで川谷のライバルとなっているのが、2年生でU-17日本代表候補にも名を連ねるMF高橋隆大だ。1回戦、2回戦と先発した高橋は、1回戦ではゴールも決めている。プロ内定の川谷ですらレギュラーを確約されていないあたりに、静岡学園のレベルの高さがうかがえるが、「(高橋が)活躍するので、自分の中ではだいぶ悔しいという気持ちが強い」と川谷は想いを吐露する。

 高橋もまた、「ライバル的な存在として、良い先輩でもあるけど、清水内定の(川谷)凪くんがいて、結果を残さないと生き残れない世界というのは分かっていた」と、1回戦後に語っているように、強烈に意識している。実際、宮崎日大戦では、後半24分から出場、高橋は貪欲にゴールを狙いに行く姿勢を見せていた。

 この日、高橋はトップ下として途中出場し、川谷と併用される形に。それでも川谷は、2ゴールという記録を残し、「結果を残して、監督にアピールできたかなと思っています」と、自らの存在を強烈に示した。

(取材・文 奥山典幸)

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